2010年3月25日(木)「しんぶん赤旗」

米医療改革法成立

「皆保険に接近」

「無保険者残る」と指摘も


 【ワシントン=西村央】23日にオバマ大統領の署名で成立した医療保険改革法をめぐっては、無保険者を3200万人減らすことへの評価とともに、同法に盛り込まれなかった公的医療保険制度の樹立を求める立場からの批判も出ています。改革反対の共和党からは「廃止」を国民に問うべきだとの声も出て、11月の中間選挙、2年後の次期大統領選挙の争点となりそうです。


 ニューヨーク・タイムズ紙22日付社説は、「1年におよぶ闘争は21日夜、機能不全の医療保険制度のもとで犠牲者となるか無視されてきた数え切れない人々の勝利で終わった」と歓迎。歴史的重要性を持つ内容として、▽国民皆保険に近づく▽既往症を理由にした保険適用の拒否や法外な医療費請求など現行医療保険の悪習を抑制する▽長期的に医療費高騰を抑える―の3点をあげました。

 米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)のトラムカ議長は「包括的医療保険に向けた重要な前進」と評価。巨大保険会社が巨額資金を使ったテレビコマーシャルやロビー活動で法案を葬り去ろうとした試みを、草の根からの運動で打ち破ったと評価しました。

 公的医療保険を要求していた医師団体「フィジィシャン・フォー・ナショナル・ヘルス・プログラム」は22日に声明を発表。多くの無保険者が残るうえに、中間所得層が加入する民間医療保険では保険料が所得の9・5%と高額でありながら、平均で医療費の70%しかカバーされないと指摘しました。そのうえで「米国はいずれ、公的な医療保険制度を採用せざるを得なくなるだろう」としています。

 一方、共和党のギングリッチ元下院議長は「12年大統領選の共和党候補はこの腐敗した法の廃止に触れざるをえない」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙22日付)と強調。民間医療保険業界の有力政治団体「米国医療保険計画」のイグナニ理事長は21日の声明で、「法律は国民の医療費負担を増す」と敵視する姿勢をみせています。





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