2010年3月26日(金)「しんぶん赤旗」
チリ大地震津波 漁業被害
収入絶たれた
紙・高橋議員ら 「激甚災害指定を」政府交渉
チリ大地震津波による漁業被害への特別の支援措置を求め、日本共産党の岩手、宮城両県委員会は25日、内閣府、総務省、農水省と交渉しました。紙智子農林・漁民局長(参院議員)、高橋ちづ子衆院議員が参加しました。
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要望書では、地域によって漁業共済の未加入者が多く、被害を受けたカキ、ホタテなど収穫するまで2〜5年かかり、その間収入がなくなる漁業者がいると指摘。国の支援がなければ廃業に追い込まれる深刻な事態だとして、「激甚災害」に指定することなど7項目を求めました。
応対した内閣府の防災担当者は、激甚災害指定について「今までの例で、判断に1カ月半〜2カ月かかる。指定するかどうか、早期に判断できるよう努力している」と述べました。
激甚災害に指定されると、自治体による復旧事業への国の補助率が引き上げられます。
要請項目のうち「収入が途絶える漁業者に対し必要な支援を行うこと」については、政府の回答はありませんでした。高橋議員は、高齢化した漁業者から今回の災害を機にやめざるをえないという声が上がっているとして「漁業を続けられるように、水産庁が責任を持たなければいけない」と述べました。
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ホタテ、カキ、ホヤ、ワカメ、コンブなどの水産物と養殖施設の被害は、岩手県が約18億1千万円(23日現在)、宮城県が約42億8千万円(18日現在)とすでに60億円を超えていると発表しています。
宮城県の中川邦彦塩釜市議は、漁業者らが津波被害直後、多くの船が行き来する海上航路の確保を最優先するため、破損した養殖施設などの漂流物を撤去したと述べました。「漁民が独自に漁船を出して漂流物を撤去した。1回あたりガソリン300〜400リットル、多いときには500リットルを使ったそうです。それに対し補助はないのか」
岩手県の滝田松男・大船渡市議は、「海底に落下した養殖施設の引き揚げは、ダイバーを雇わなければならない。被害額の算定をしなければならないが、出荷時期を迎えているワカメの収穫作業に追われているのが実態」と述べました。
交渉には、せがわ貞清参院岩手選挙区予定候補、かとう幹夫参院宮城選挙区予定候補、津波被害を受けた自治体の党議員らが参加し、被害にあった漁業者の実態を訴えました。