2010年3月30日(火)「しんぶん赤旗」

水俣病訴訟が和解合意

熊本地裁 国・県・チッソ、患者救済へ


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(写真)基本合意成立の知らせを聞く原告ら=29日、熊本地裁前

 国・熊本県、チッソに損害賠償を求めた「ノーモア・ミナマタ訴訟」(19陣までの原告2123人)の第5回和解協議が29日、熊本地裁(高橋亮介裁判長)で開かれ、原告、被告双方が裁判所の「所見」を受け入れ基本合意が成立し、和解に向けた大きな一歩が踏み出されました。

 「基本合意」では、水俣病の判定方法として(1)患者と被告らで第三者委員会を設置する(2)原告側の共通診断書、被告指定機関の診断書を資料とする(3)1969年12月以降出生、「指定地域」外の人については科学的証拠などに基づき判断する、などとなっています。

 また原告1人当たり210万円の一時金、療養手当月1万2900〜1万7700円、医療費の自己負担分を支払うほか、原告団に団体加算金29億5000万円を支払うことになっています。

 和解協議後の記者会見で大石利生原告団長は「鳩山首相による、すべての被害者救済、健康調査につながる発言が必要だ、と訴えた」と語りました。園田昭人弁護団長は、被害者の中から「地域、年代で不満の声が上がっていることを裁判所に伝え、再検討を要請した」とのべました。

 原告団は、声明を発表。国の初の和解参加や行政による被害者判定の独占を打ち破った点を評価しました。一方、地域住民の健康調査が実施されていないため多くの潜在患者が取り残されていることや無責任なチッソ分社化の恐れがあることを指摘して、今後とも「すべての被害者救済」の実現に向けたたかい続ける、と表明しました。





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