2010年4月3日(土)「しんぶん赤旗」
公務員の政治活動の自由をどう考える?
〈問い〉 公務員は政治活動が著しく制限されています。日本共産党はどう考えますか。(東京・一読者)
〈答え〉 国や自治体が、どんな立場の国民、住民にも「行政の中立」を貫かなくてはならないことはいうまでもありません。いま自分の支持者の多いところに事業を配分する「個所付け」などで問題になっているのは、政府の役職についた議員や首長ではないでしょうか。この人たちは「特別公務員」として、政治活動は何ら規制されていませんが、行政に携わるときには、「行政の中立」を守るべき立場であることは変わりません。
これに対して一般職員は、政治活動が厳しく制限され、とくに国家公務員は、職務に関係ない場所でもビラを配布したり、投票を依頼したりする政治活動がほとんどできないぐらい法律で禁止されています。こんな不合理なことはありません。
政治活動のできる特別公務員こそ、最も「行政の中立」を守ってもらわなければならないし、守れるはずだというのが法律の建前です。そうであれば一般の公務員の場合でも、仕事時間中や仕事の場所など、職務に関係あるときだけ政治活動を制限することは当然としても、それ以外の場合は政治活動を規制するなどはもってのほかです。
国公法堀越事件の東京高裁判決が3月29日にあり、逆転無罪となりました。判決は、国家公務員法による政治活動の規制そのものは合憲だとしていますが、日本の規制範囲は西欧先進諸国と比べ広すぎる、日本も世界標準という視点でみる必要がある、それが国民の法意識だなどの趣旨から、堀越さんのような休日に職務と全く関係のないところでビラを配布した行為まで、国公法による処罰を加えるのは違憲だと判断しています。
日本共産党は、以前から公務員の政治活動の禁止に反対し、とくに国家公務員に刑事上の処罰を加えることは、国際自由権規約などの国際的な人権水準からもきわめて遅れた制度だとしてその廃止を求めてきました。今回の東京高裁判決は、不十分な点はありますが、その方向への再検討が始まったものとして評価されるものです。(明)
〔2010・4・3(土)〕