2010年4月19日(月)「しんぶん赤旗」
NHK日曜討論
小池政策委員長の発言
日本共産党の小池晃政策委員長は18日、NHKの「日曜討論」に出席し、前原誠司国土交通相や各党出席者と、高速道路の新料金制度や割引財源の建設費への流用問題について論戦を交わしました。
割引財源の道路建設への流用「公約からの逆走」
冒頭、司会の島田敏男解説委員が、鳩山政権が打ち出した新高速料金制度の概要を紹介。前原国交相は、鉄道やフェリーなどの経営への影響や経済活性化効果を調べるための試行だと説明しました。
小池氏は、次のように述べました。
小池 これは実質値上げです。結局、高速道路をつくれという圧力があり、その財源をどうつくるかということで、割引財源を建設に回すという話ですから、これはもう逆走ですよ。
もし、現行の割引制度に矛盾があり、その制度を変えることで割引財源があまるのであれば、優先順位の高い医療や福祉、子育てのために使うというのが国民の期待です。1兆4000億円の割引財源を、保育所や特養ホーム建設に使えば、待機者など一気に解決します。「ムダなコンクリート」ではなく、「暮らしに役立つコンクリート」に変えていくことが必要です。今回のやり方は、公約と真っ逆さまなやり方だと思います。
前原氏は、野党時代の民主党も参加した国幹会議(国土開発幹線自動車道建設会議)が決めた道路整備計画について、建設総延長1万4000キロの「見直し」を口にしつつ、「法律で決まったことだ」として、建設を推進する考えを示しました。
小池氏は、次のように批判しました。
小池 先ほどから「国幹会議」という言葉が出ていますが、昨年4月の最後の国幹会議で1兆2800億円の東京外環道をはじめとする道路建設計画を決めたわけです。そこで決まったからやるんだと。
しかし、この国幹会議が「不透明で、不十分だ」と批判してきたのが民主党です。国幹会議に問題があるから廃止するといいながら、そこで決まったから道路はつくりますと、しかも建設のために割引財源を流用するという。
東京外環道は「1メートル1億円」ということで有名で、地下40メートルを5階建てビル(相当の大きさ)のトンネルでぶち抜くというものです。地下水にも影響を与え、自然を破壊すると住民も反対しているにもかかわらず、つくるというのです。
さきほど1万4000キロを見直すといいましたが、民主党政権が「凍結する」といっていたものを、「つくる」という方向にかじを切り替えたことは明らかです。
この批判に前原氏は、国幹会議の「形がい化」に言及しながら、「野党の民主党議員も入って決めたことに責任をもつ」と強調。東京外環道も、「不必要だから凍結したわけではない。施工方式を再検証していた」と、建設推進の姿勢を示しました。
小池氏は、社民党の近藤正道政審会長代理も、「白紙に」と述べたことに触れ、次のように指摘しました。
小池 国幹会議で賛成して決まったから連帯責任があるというが、国民を連帯責任に巻き込むべきではありません。間違っていたなら、民主党が謝ればいい。そして、白紙から議論すべきです。
前原氏は、「なんでわれわれがわびる必要があるのか」と開き直り、「法律で決まった道路だ」と繰り返しました。
また小池氏は、民主党が「段階的に無料化するといいながら、段階的に値上げするもので、国民から見れば支離滅裂だ」と批判した上で、次のように発言しました。
高速道路の無料化は見直し税金は医療、福祉優先に
小池 そもそも、無料化というマニフェストに無理があった。民主党が無料化などといいだしたから、自公政権も引きずられて値下げ競争に走り、ついにこの大破たんに直面したわけです。こういう無定見、無節操なやり方は、やめるべきです。税金の使い方には優先順位があります。無料化が「原則だ」ということで進むのではなく、改める決断をすべきです。
司会から、同改定案への態度を問われた小池氏は次のように答えました。
小池 もちろん反対です。割引財源を建設に使うというのは、詐欺に近い。しかも、つくるのは1メートル1億円の東京外環道。それを決めた場所は、民主党の馬淵(澄夫国交)副大臣も国会で「とんでもない決め方だ」と批判した国幹会議です。
前原氏は、自公政権当時に決められたスマートインターチェンジ建設などのための「利便増進事業」の財源を道路建設目的にまで「広げた」と説明。小池氏は次のように述べました。
小池 有用な道路は「利便増進事業」でできるといいだしたら、日本中にどんどん高速道路をつくれることになります。
国会で議論もしないで、国幹会議で決めたからやるんだと。(前原氏「いまから国会で議論してもらう」)予算(案審議段階)で議論すればいい。一つひとつの道路について、ちゃんと国会で議論する、それがやっぱり透明性なんですよ。
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