2010年4月23日(金)「しんぶん赤旗」
学校の石綿災害 初認定
滋賀 元体育教師の死は労災
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滋賀県内の小学校体育館に使われていたアスベスト(石綿)が原因で、体育担当教員だった古澤康雄さんが悪性胸膜中皮腫で死亡したことで、公務災害認定を求めていた遺族らが22日、地方公務員災害補償基金中央審査会で、初めて教職員の公務災害が認められたと明らかにしました。
古澤さんが1973年から3年間勤務した現湖南市の旧甲西町立岩根小学校の体育館は石綿がむき出しで、88年に使用禁止、翌年除去されましたが、古澤さんは02年、「私は死を打ち消したい」という英文詩を遺し、56歳で亡くなりました。
公務災害認定の重い扉を開けた妻の彌惠子さん(61)は、「病気が分かってもらえないことが一番つらく、『いつも子どもと体育館でいっしょでした』と訴えても、『遊んでいたのか』といわれるような気がしていました。申請から4年半。裁決書を見て、夫のお墓にいきました。今は確信を持って説明できます。こんな災害がなくなるよう心から願っています」と話しました。
当初、基金県支部審査会は「公務外の災害」として請求を棄却。彌惠子さんと支援の人たちは、同僚や教え子から古澤さんの勤務実態や、「新しい体育館にしてはほこりが舞うことが多かった」「先生に会いたいと思えば体育館で、たいてい出会えた」などの証言、のべ1万人の署名も集めました。
中央審査会は、悪性中皮腫の診断があり、体育館天井にはボールがよく当たり石綿が飛散していたなかでの勤務は長時間だとして、「公務に起因」を認め、県支部審査会の裁決を取り消しました。
滋賀教職員組合など支援団体は「今後の労災や公務災害認定に大きな突破口。情報開示や早期発見が全国で進むよう期待します」とコメントしました。