2010年4月27日(火)「しんぶん赤旗」

主張

金融規制

国際協力で強化の具体化を


 世界的な金融危機を二度と繰り返さないため、金融規制の議論が続いています。危機に対処する「金融サミット」として2008年に出発した、日米欧や、中国、ブラジルなどが参加するG20(20カ国・地域)は、6月の次回サミットで規制を具体的に前進させることが期待されています。

 先週末のG20財務相・中央銀行総裁会議は規制の具体策を打ち出すにいたりませんでした。理由として各国の思惑の違いが指摘されています。「グローバル化」のなか、金融規制には国際協力が不可欠であり、各国が足並みをそろえる必要があります。

米で進む規制

 米欧では銀行やヘッジファンド、格付け会社、金融派生商品への規制などが議論されています。

 米議会が審議中の法案は、金融機関の破たん処理費用を金融業界に課すのをはじめ、自己売買による証券取引やファンド投資の禁止で銀行がとるリスクを抑えるなどの措置が盛り込まれています。オバマ大統領は法案の成立を重要課題に位置づけ、「21世紀の経済発展にとって、ウォール街の改革は絶対不可欠だ」と述べ、抵抗する金融業界に攻勢をかけています。

 米投資銀行トップのゴールドマン・サックスがサブプライムローン関連の商品販売で詐欺を働いた疑いで、証券取引委員会(SEC)から提訴されました。この事件は、同社が金融危機のさなかにも投機でもうけをあげており、銀行への規制強化の必要を示すものとして注目されています。同社に対しては、イギリスでも調査が行われています。

 G20の要請に基づいて銀行課税について検討してきた国際通貨基金(IMF)は、今回の財務相・中央銀行総裁会議に中間報告を提出しました。金融機関の公正な負担のあり方をめざすとして、破たん処理のための「金融安定負担金」と、金融活動の利益や報酬に課す「金融活動税」の2本立てを提起しています。金融活動への課税は規制強化の柱の一つであり、具体化が注目されています。

 米国はかつてIMFを利用しながら世界に規制緩和を押し付けました。いま規制強化の側に回っているのは、金融危機が実体経済と財政に多大な影響をもたらし、国民から厳しい批判を受けているからです。

 G20財務相・中央銀行総裁会議を報じた欧米メディアは、規制に反対する国としてカナダなどと並んで日本を名指ししました。

 日本では金融規制の議論は進んでいません。菅直人財務相は規制の必要について、「(日本は)金融制度そのものの問題が指摘されているわけではない」(20日の会見)と否定的です。

 日本の金融機関は米投資銀行を手本に活動し、政府も「構造改革」の名による規制緩和で後押しをしてきました。菅財務相が制度に問題がないかのようにいうのは的外れであり、政府はこれまでの路線を見直す必要があります。

日本も新たなルールを

 日本の後ろ向き姿勢は国際的な議論の足を引っ張りかねません。世界を席巻した規制緩和と弱肉強食の新自由主義が金融の投機化に拍車をかけ、金融危機につながりました。日本もその反省に立って新たな金融のルールづくりを進めることが求められます。





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