2010年4月27日(火)「しんぶん赤旗」
「命綱切らないで」
公害予防「仕分け」 被害者ら訴え
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政府の行政刷新会議の「事業仕分け」2日目の26日、とりあげられたのは公害健康被害予防事業を行ってきた環境再生保全機構でした。傍聴に訪れた東京都や神奈川県、大阪府の大気汚染公害被害者が「私たちの声を聞いてほしい」「命綱を切り捨てないで」と会場前で声をあげました。事業存続は決まったものの、公害被害者は「これからは国民や公害患者の声を反映した予防事業をすすめてほしい」と訴えました。
川崎市から駆けつけた女性(73)はぜんそく治療のステロイド剤の副作用で足が不自由です。「大気汚染のぜんそくで2人の子どもを殺された。残った2人の子どもと家を追い出され、人生をめちゃくちゃにされた。公害予防を仕分け対象にするなんて。これ以上の公害被害者を苦しめないでほしい」と語りました。
「天下りとか、無駄遣いという問題ではなく、公害被害者が生きていくための命綱を仕分け対象にしたことが信じられない」というのは東京公害患者と家族の会の石川牧子副会長。「事業の中身について、公害被害者の声をもっと反映させなければ国民全体も納得できないのではないか。事業に公害被害者の参画を真剣に考えてほしい」と話しました。
「仕分け」対象となったのは自民党政府が新たな公害被害者の認定を打ち切った1987年に生まれた事業。東京など12の旧公害指定地域の住民を対象にぜんそくなどの健康回復・予防の環境保健事業をしてきました。