2010年5月15日(土)「しんぶん赤旗」
札幌地裁
B型肝炎 和解協議入り
具体案ない国を原告批判
幼児期の集団予防接種で注射器具の使いまわしによってB型肝炎ウイルスに感染させられた患者らが国に損害賠償を求めた北海道訴訟の口頭弁論が14日、札幌地裁(石橋俊一裁判長)で開かれました。その後の進行協議で、原告、被告国側双方とも地裁の和解勧告に応じることを表明しました。
法廷で原告弁護団は、「(裁判所が示した広く救済するという)指針を受け入れるのか」と追及。被告国側は「進行協議で話す」とのべ、法廷内での損害賠償額や全面救済策案など和解の枠組みについては具体的に提示しませんでした。
進行協議の席でも具体案を示さず、6月21日に進行協議を行うこと、7月6日に和解協議を行うことが決まりました。
原告からは「これでは先延ばし策。事実上の和解拒否だ」と落胆と怒りの声があがりました。
入院治療中で、医師から外出許可をもらって出廷した北海道訴訟原告の高橋朋己さん(57)は、判決を待たずに無念の思いで亡くなった仲間の思いを代弁して陳述、早期全面解決を求めました。
全国原告団代表の谷口三枝子さん(60)は記者会見で「強い憤りを感じます。和解勧告から2カ月間、国は何を検討してきたのでしょうか。この間2人が亡くなり、10人の原告の命を失っています。原告の命を何と考えているのか。被害実態を知り、早く謝罪し迅速な対応を求めます」とコメントしました。
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