2010年5月20日(木)「しんぶん赤旗」
石綿被害 国に責任
泉南訴訟で大阪地裁 “対策とらず違法”
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アスベスト(石綿)による健康被害は、危険性を知りながら規制権限を行使せず、対策を怠った国に責任があるとして、大阪府南部の泉南地域にあった工場の元労働者やその家族、周辺住民29人が国に損害賠償を求めた、大阪・泉南アスベスト国賠訴訟の判決が19日に大阪地裁でありました。小西義博裁判長は、国の不作為責任を認め、総額4億3505万円の賠償を命じました。アスベスト被害について、国の責任を初めて認めた画期的判決です。
判決は、(1)旧じん肺法制定時の1960年までに、(粉じん飛散を抑制する)局所排気装置の設置を義務づけなかったことは違法(2)72年に石綿粉じん濃度の測定結果の報告および改善措置を義務づけなかったことは違法と指摘。「石綿粉じんばく露による健康被害が慢性疾患であり、不可逆的で重篤化するという特質を有することから照らすと、その対策は喫緊の重要課題であった」と述べ、対策に要する経済的負担などを理由に「労働者の健康や生命をないがしろにすることはできないというべき」だとしました。
国は使用者らと共同不法行為の関係にあるとし、国に一次責任があると示しました。
近隣ばく露による健康被害は認められませんでした。