2010年5月25日(火)「しんぶん赤旗」
衆院倫選特
投票機会の公平損なう
国政選挙基準法改定案を可決 佐々木氏が批判
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衆院政治倫理公職選挙法特別委員会は24日、国政選挙等の執行経費基準法改定案の採決を野党から審議不十分との指摘の中、審議を終局し、与党と公明党の賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。
採決に先立ち反対討論に立った日本共産党の佐々木憲昭議員は、同改定案は政府の行政刷新会議が行った「事業仕分け」の評価を反映し、投・開票所経費を2〜3割も大幅削減するものだと指摘。「投票所数や時間が自治体によって不均衡になれば全国一律で行われる国政選挙で投票機会の公平性が確保されなくなる」と批判しました。
“遠のく一票” 3割で投票時間短縮
投票所 98年比2439カ所減
佐々木氏追及
2009年の総選挙で全国の投票所のうち約3割が投票時間の短縮を行っていたことが分かりました。日本共産党の佐々木憲昭議員が21日の衆院政治倫理公職選挙法特別委員会でただしました。市町村合併で投票所数が1998年参院選時と比べ、09年総選挙では2439カ所少なくなったことも判明。国民の一票が二重に遠のいていることが浮き彫りとなりました。
98年から延長
「民主主義の根幹である選挙の公正・公平を損ないかねない」―。“遠のく一票”について佐々木氏は、こう指摘しました。
投票時間は、98年から環境向上のために2時間延長されました。時間の繰り上げなどは、公職選挙法(40条1項)の規定で、投票に支障をきたさないと認められる特別の事情がある場合などに限り行うことができます。
佐々木氏への答弁によると、98年参院選の際、投票時間の変更を行った投票所は全国で2966カ所(全投票所数の5・6%)。これに対して昨年の総選挙では1万5414カ所(同30・2%)にのぼりました。
総務省への市町村からの報告では、(1)地域住民の生活パターンが早朝から昼にかけて集中している(2)高齢者が多く夕方から夜間にかけての投票に危険が伴う(3)道路事情や公共交通機関の状況などにより夕方から夜間にかけての交通事情が悪い―などを理由にしているといいます。
法改定で拍車
今国会ではさらに、国政選挙等の執行経費基準法改定案を審議中です。同法案は投票所、開票所の経費を削減するものです。
質問で佐々木氏は「(投票時間変更の理由が)当てはまらない方もたくさんいる。そういう方の投票時間を奪うことになり、有権者が投票しやすい環境を整え国民の権利を保障することに逆行する」と批判。今回の法改定によってさらに拍車がかかるのではないかという強い危ぐを表明しました。
原口一博総務相は投票時間の変更について「同じ問題意識をもっている。繰り上げについて厳正な対応をするように各選挙管理委員会に要請をしている。本来全国一律で行われるべき国政選挙で、地域でこれだけ差があるというのは厳正な対応を本当にしているのか。あらぬ疑いをかけられることがあってはならない」との認識を示しました。
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