2010年5月29日(土)「しんぶん赤旗」

民主の郵政法案強行

審議1日 「言論の府」圧殺


 民主党など与党による28日の郵政「改革」関連法案の強行採決は、憲政史上未曽有の暴挙であり、民主党の強権的国会運営は“ここまできたのか”ということを鮮明にしました。

検証の道閉ざす

 審議・採決日程は、委員会を構成する全会派による理事会での協議と合意で決めるのがルールです。しかし民主党の山岡賢次国対委員長は27日の本会議中に、小沢一郎幹事長の指示で翌28日中の郵政「改革」関連法案の審議打ち切りと採決を決め、野党に“通告”。与党の数の力を振りかざして、国会運営を一方的に決めるという、議会制民主主義無視の恥ずべき挙に出たのです。

 重大なのは手続き上の問題だけではありません。小泉自公政権が「構造改革」の“目玉”として強行した郵政民営化によって、分社化や郵便局統廃合、人減らしなどの合理化による郵便物の遅配や誤配の急増、過疎地でのサービス低下などが国民生活に重大な影響をもたらしています。

 政権交代後の国会に求められているのは、まさに郵政民営化の問題点を徹底して検証・解明することで、「構造改革」路線を総括し、公正な公共サービスとして再生させることにあるはずです。

 そのような重要法案の審議を、わずか1日で十分に尽くすことなど、到底できるはずがありません。

「改革」の先取り

 民主党は、重大な国民的関心事となっている沖縄・米軍普天間基地や「政治とカネ」の問題などについての予算委員会での集中審議にも一切応じようとしていません。

 国民や野党の要求は一顧だにせず、自らに都合のいい法案の成立に血道を上げる――。これが民主党の国会運営の姿です。

 憲法が「国権の最高機関」と定める国会は、立法機関として国民に責任を負う「言論の府」です。与党第1党の民主党が「数の力」を背景に、ルールを無視し、審議を軽視し、強行採決を繰り返している実態は、国民から負託された「言論の府」としての責務を放棄する以外のなにものでもありません。

 このような政党に、「国会改革」を口にする資格はあるのか。実際、小沢幹事長が唱える「政治主導」「国会活性化」の“美名”による「国会改革」関連法案は、内閣法制局長官を含む官僚の国会答弁を禁止するなど、国会の行政調査・監督権能を弱め、与党による強権的な国会運営を可能とすることを狙っています。国会のルールを変える法案を、全会派の合意もなく一方的に国会に提出したやり方をみても、同党の狙いは明々白々です。

 現在、国会の場で起こっている異常な事態は、民主党による「国会改革」の先取りにほかなりません。(林信誠)





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