2010年6月2日(水)「しんぶん赤旗」
郵政「改革」関連法案
塩川議員の反対討論
衆院本会議
5月31日の衆院本会議で、郵政「改革」関連法案の強行採決に先立ち、日本共産党の塩川鉄也議員が行った同法案への反対討論は次の通りです。
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反対の第一の理由は、小泉内閣の郵政民営化法によって廃止された、金融のユニバーサル・サービス、郵貯・簡保の全国一律サービス義務を回復し、保障するものになっていないことです。
全国一律いうが
法案では、郵政持ち株会社、郵便事業会社と郵便局会社を統合した新日本郵政株式会社に金融の全国一律を課すとしていますが、新日本郵政株式会社も、郵便局に金融サービスを提供するゆうちょ銀行もかんぽ生命も、利潤追求の株式会社であります。
しかも、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、銀行法、保険業法上の民間会社であり、全国一律サービスの義務付けもありません。採算がとれない地域に金融サービスを保障する全国一律サービスの義務付けを株式会社に義務付ける制度設計には、根本的な矛盾があります。
加えて、新日本郵政株式会社が保有する金融2社の株式は3分の1超にすぎず、全国一律サービス義務に基づく経営方針を金融2社に徹底することもできません。これでは、金融のユニバーサル・サービスの保障を求める国民の声に応えられず、民営化の見直しの名に値しないと断ぜざるを得ません。
第二の理由は、ゆうちょ銀行の預入限度額の引き上げ、新規事業の拡大で、地域金融、地域経済に混乱をおよぼす懸念があることです。
大塚耕平郵政改革担当副大臣が、2月に発表した「郵政改革素案」においても、「民間金融機関、とりわけ中小地域金融機関にとって、政府出資、全国ネットワーク、3事業一体で資金規模の大きい日本郵政グループが『経営の潜在的脅威』であることは理解できる」と述べていたのであります。
法案が成立し、限度額が引き上げられ、新規業務が拡大すれば、郵政グループは、中小地域金融機関の潜在的脅威から現実的脅威に転換し、地域金融、地域経済の大きな波乱要因となることは避けられません。
金融2社には、国民が求める全国一律サービス義務を免除する一方、政府出資など民間にはない有利な条件のもとで金融業務を解禁しようというのが、今回の法案であります。小泉郵政民営化が、金融2社の全株式を売却することで、アメリカと財界の要望に応えたものなら、今回の法案は、郵政グループの利益拡大のために、その一部を手直ししただけの国民不在の見直し法案であります。
私は、昨年の郵政民営化“凍結”法案に対する本会議質問で、見直しの基本方向として、金融のユニバーサル・サービスの義務付け、1社体制、公的事業体の3点を提起しました。
規制緩和見直せ
これに加えて、郵便の規制緩和に対する見直しも急務であります。小泉内閣のもとですすめられた郵便市場の規制緩和によって、もうかる都市部へのメール便のいいとこどり参入が進み、郵便市場は限界を超えたコスト競争にさらされたのであります。この結果、郵便事業と民間宅配事業者の双方に、非正規雇用が拡大し、郵政グループは、20万人を超える、日本最大の非正規雇用を抱える事業体となったのであります。まさに、貧困と格差を拡大した小泉「構造改革」の象徴であります。郵便のユニバーサル・サービスの維持、非正規雇用から正社員化への転換のためにも、郵便市場の規制緩和の見直しが不可欠ですが、今回の法案には、この視点が全く欠落しています。
日本共産党は、郵政グループの利益のための見直しではなく、国民のための見直しを求めて、これからも奮闘することを表明して、討論を終わります。
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