2010年6月3日(木)「しんぶん赤旗」
緊急国会議員団総会
志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が2日、緊急国会議員団総会でおこなったあいさつは次の通りです。
国民の期待に背き、公約を裏切った政治が、国民的な怒りに包囲された
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本日、鳩山首相が辞任表明をしました。
これは国民の期待に背き、公約を裏切った政治が、国民的な怒りに包囲された結果にほかなりません。
鳩山内閣は、沖縄・普天間基地問題について、「国外、最低でも県外」という公約をふみにじり、結局、名護市・辺野古の美しい海を埋め立てて新基地をつくるという方針を押しつけようとしています。この方針は、鹿児島県・徳之島と本土にも訓練を分散するというもので、自公政権時代の方針よりもさらに悪いものとなりました。これはまさに、沖縄県民への裏切り、日本国民への裏切りそのものであります。(拍手)
それから、「政治とカネ」の問題です。鳩山首相自身の問題、小沢幹事長の問題、数々の疑惑が噴き出したにもかかわらず、いっさいこれにほおかむりを続けました。国民への説明責任をまったく果たしてこなかった。その責任は重大だといわなければなりません。(拍手)
さらに、今日の首相の発言を聞いておりますと、暮らしの問題では「人の命を大切にする政治」をおこなったかのようにいっていますが、後期高齢者医療制度の撤廃という公約を投げ捨てたのは誰か。この差別制度の撤廃を4年後まで先送りしたうえ、先送りのうえでつくる「新制度」なるものが「うば捨て山」をさらに拡大するものとなっていることも、国民の怒りを広げています。労働者派遣法の問題でも、政府提出の法案は、改正といいながら「抜け穴」だらけのもので、「使い捨て」労働の温存法案となっています。これらの国民の暮らしを踏みつけにする政治にも怒りが集中しました。
平和の問題でも、暮らしの面でも、「政治とカネ」の問題でも、あらゆる面で国民の期待を裏切り、公約を裏切った。これが国民的な怒りの包囲となって、首相を退陣へと追い込んだ。このことをまずいいたいと思います。(拍手)
首相個人だけの責任ではない――民主党政権の共同責任が問われている
第二に強調したいのは、これは鳩山首相個人だけの問題ではないということです。民主党政権全体の責任だということを強調したいのであります。
普天間問題についても、5月28日、日米両政府は、「県内移設」と全国への基地拡散という日米合意をかわしています。これは、民主党政権が政権をあげてすすめたわけですし、民主党が党をあげてすすめたわけです。民主党政権の共同責任としてああいう日米合意がつくられたのです。「県内移設」と基地拡散の日米合意は、鳩山首相が辞めたからといってなくなるわけではありません。ひきつづき両国政府の合意として存在しているわけです。現に米側は、「首相が誰に代わろうともこの合意はやってもらいます」といっているわけです。日米合意は残っている。これは首相が辞めれば帳消しになるわけではない。「県内移設」と基地拡散という日米合意の実行を中止させ、これを葬るたたかいは、絶対に手を緩めることなく続けなければなりません(拍手)。普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設絶対反対、無条件撤去のたたかいを、ご一緒にすすめようではありませんか。(拍手)
「政治とカネ」の問題でも、首相が辞めれば済むという問題ではありません。真実は何ひとつ究明されていないわけです。国会がこの真相究明に取り組むことを、民主党全体としてことごとく妨害してきたわけです。証人喚問をという私たちの要求もいっさい顧みようとはしなかった。小沢幹事長は、自分で政治倫理審査会に出るといっておきながら、真相解明にはきわめて不十分なこの場にすら、出てこようとしなかった。国民への説明責任を何も果たしていない状態なのです。これは鳩山首相と小沢幹事長が辞めることで、一件落着には決してならない。私たちは、疑惑の徹底究明を今後も強く求めていきます。鳩山氏についても小沢氏についても国会の場で証人喚問も含めた徹底究明が絶対に必要です。これ抜きに「クリーンな政党」だといってもむなしいだけだといっておきたいと思います。(拍手)
暮らしの問題でも、後期高齢者医療制度、労働者派遣法など、さまざまな問題での期待と公約に対する後退と裏切りも、民主党全体ですすめてきた問題であり、その責任が問われているのです。私たちは、労働者派遣法の抜本的改正、後期高齢者医療制度の速やかな撤廃、そして「経済危機から国民の暮らしを守るために政治は何をなすべきか」について、「五つの提言」を発表しておりますが、これらを実行させるたたかいを強め、国民の暮らしを守り、日本経済を健全な成長の軌道にのせていくためのたたかいを、ひきつづきすすめていきたいと決意しています。
どの問題でも、首相個人だけの責任ではない。民主党政権の共同責任が問われています。その責任への反省がなく、ほおかむりしたままで、首相の顔だけ替えたとしても、国民の信頼は決して得られることはないでしょう。
根本に「米国と財界にモノ言えぬ政治」――日本共産党躍進で転換を
第三に、私が言いたいのは、なぜここまで鳩山政権が転落したのかということです。その根本には、「アメリカと財界にモノが言えない政治」――政治の異常なゆがみがあるということを言わなければなりません。
普天間問題をめぐる転落がどうして始まったか。今日、首相は、普天間問題について「なんとか県外に(移設したい)という思いがあった」などと弁明しました。しかし結局、それすら達成することができなかったのです。なぜできなかったか。それは首相自身が言ったように、「海兵隊の抑止力」なるものを「学んだ」からです。「学べば学ぶほどこれが尊いものだとわかった」とのべた。「海兵隊は抑止力」というアメリカの論理に屈してしまい、その呪縛(じゅばく)にとらわれたら、転落はとめどもなくなりました。結局、自公案よりももっと悪い内容に日米合意はなったわけです。アメリカにモノが言えない政治が、どこまで転落するかを絵に描いたように示したのが、普天間問題だと思います。
また、後期高齢者医療制度、労働者派遣法の問題。なぜ裏切りや後退がおこったかといったら、財界の圧力です。財界の圧力に屈して、派遣法改正案は「抜け穴」だらけのものとなってしまった。財界が社会保障の抑制という号令をかけるもとで、後期高齢者医療制度についても公約の裏切りがおこってくる。4月13日に、日本経団連が、「成長戦略」の名で「法人税減税」「消費税増税」という方向を出したら、いっせいにそれに呼応する発言が内閣の中枢から出てくる。アメリカと財界にモノが言えない政治、言いなりの政治でいいのかということが、いま日本の政治の大問題として問われているのであります。(拍手)
参議院選挙ではまさに、こうした政治の転換こそが求められています。日本共産党は、アメリカに対しても、財界に対しても、相手も否定できない事実と道理をもって、国民の立場で堂々とモノを言い、政治を動かすため行動してきた政党です。普天間基地についても、米国政府に、解決方法は無条件撤去しかないと伝えてきた政党です。こういう党が伸びてこそ、日本の政治の希望ある明日が開けることを大いに訴え、きたるべき参議院選挙で必ず躍進を勝ち取ろうではありませんか。(大きな拍手)
一日一日が勝敗を分ける――勝利に必要なことをやりぬこう
6月4日に予定していた「全国いっせい決起集会」は、民主党が4日に後継の代表を決めるという日程が入り、その後、首相指名、所信表明演説、衆参での代表質問という政治日程が入ってきますので、延期したいと考えます(14日、午前10時30分から)。
与党の方針では、国会については、会期延長はせずに16日に予定通り閉会とするとのことです。参議院選挙は、6月24日公示、7月11日投票ということになります。ゴールの日程は想定通りです。ですからこういう時期には決して「様子見」に陥ることなく、勝利に必要なこと、やるべきことをやりきるために、一日一日が勝敗を分けるという構えで、全力をつくすことが大切です。参議院選挙で、必ず躍進を果たし、日本の政治にほんとうに明るい展望と希望が見えてくるような結果を勝ち取ろうではありませんか。(大きな拍手、「がんばろう」の声)