2010年6月4日(金)「しんぶん赤旗」
助成金拡充して
労働法保護まったくない
芸術・文化団体から切実な声
「クラシックのコンサートは(開催回数が)年間1000回減っている」「市町村合併で公演する場所が減っている」「地方に任せろといっても、地方にプロの芸術団体を助成する施策はない」。
日本共産党国会議員団が5月26日、党本部で行った芸術・文化団体との懇談会(27日付既報)には、音楽、映画、演劇、伝統芸能の各分野の37団体、61人が参加しました。各団体からは芸術・文化活動の深刻な現状や公的助成削減への批判、国の芸術・文化政策の転換を求める意見が次々出されました。
仕分けに批判
市田忠義書記局長があいさつし、宮本岳志衆院議員が報告をおこないました。宮本氏は人々に生きる力を与える文化の必要性を強調、「文化を自由に創造し、享受することは国民の権利だ」とのべました。
その上で宮本氏は、文部科学省の芸術・文化団体への助成を縮減する計画の撤回を求め、その財源について「軍事費を削り、ゆきすぎた大企業減税をやめれば助成を増やす財源はある」と指摘しました。
さらに宮本氏は実演家・スタッフの地位向上について、「多くの実演家・スタッフには社会保険がないのが実態だ。あらためて労働者性の認定を積極的に進め、社会保障の実現を求めていきたい」と提起しました。
会場からは、「事業仕分け」に対する批判や公的助成拡充の声が相次ぎました。「芸術が『仕分け』なんかできますか」(芸術家会議)、「民主党、政府は(助成金の)縮減をせずに、拡充していただきたい。皆さんの力でそのように努力していただきたい」(講談協会)、「もっと(予算)全体のパイを増やす形で、ぜひ運動を進めていただきたい」(日本芸能実演家団体協議会)など。
持続的視点を
団体からの意見は助成の増減だけではなく、助成のあり方や芸術・文化政策について出されました。質の高い芸術活動を持続的に地域社会に提供するために、「組織基盤を育てていかなければいけない。(助成制度に)持続的に芸術活動を育てていく観点がないと、質の高いものはできてこない」(日本芸能実演家団体協議会)と指摘がされ、芸術・文化の位置づけについて「日本が今うつ状態になっていますが、これを解消するのは文化・芸術だと思います。市民が積極的に文化・芸術活動に触れられる仕組みを考えていただきたい」(日本クラシック音楽事業協会)との声が上がりました。
現場の声として「(製作の現場は)大半の人が作品ごとに雇用契約を結ぶフリースタッフだ。けがも病気も全部自分持ちという状況で、違法派遣はまん延し、労働法保護もまったくない状況だ」(映画演劇労働組合連合会)と切実な実態が述べられました。
宮本氏は「発言のすべてが私たちの問題意識と一致するものだった」として、要望実現のために協力して運動を進めていく決意を表明しました。
(若林明)