2010年6月17日(木)「しんぶん赤旗」

参院選勝利めざす党国会議員団決起集会

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が16日、党国会議員団の参院選勝利をめざす決起集会でおこなったあいさつは次の通りです。


写真

(写真)決起集会であいさつする志位和夫委員長=16日、衆院第1議員会館

 みなさん、ごくろうさまです。国会会期末をめぐる攻防はなお続いておりますが、いよいよ参議院選挙です。全党のみなさんと心を一つにして、私たち国会議員団もこの歴史的選挙をたたかい抜き、必ず新しい仲間を増やして、つぎの議員団総会を迎えようではありませんか。(拍手)

予算委員会の議論を封殺――争点隠しの姿勢は許せない

 まず、終盤国会での与党の暴挙についてのべたいと思います。

 民主党は、いったんは自ら提案した予算委員会での質疑を、一方的に撤回するという暴挙に出ております。予算委員会での一問一答での突っ込んだ議論を封殺して、選挙になだれ込もうという姿勢であります。

 新首相が選ばれたもとで、予算委員会の論戦ぬきに国政選挙をおこなうというのは、これまでの20年来でもないことであります。疑惑を隠し、争点を隠し、正体を隠したまま、選挙をやりすごそうということです。よほど論戦が怖いのか、よほど論戦の自信がないのか、それを告白するようなやり方ではありませんか(拍手)。これは、国民が選挙にあたって国政の中心問題を知り、争点を知る権利を封殺するものであり、こういう民主主義に反する暴挙は、絶対に許されないものとして、私は、断固たる抗議の意思を表明するものであります。(拍手)

党首討論会を大いに――各党が主張を堂々と論じ国民の審判を

 同時に、提案したいことがあります。選挙の公示前と公示後、党首討論会を大いにやろうではないかという提案であります。具体的には、日本記者クラブ、NHKと民放テレビ各局で、公示前と公示後で複数回の党首討論会をやろうではないかと提案したい。そしてその場で、国民の前で、各党の主張を堂々と論じ、争点を明らかにして国民の審判を仰ごうではないかということを、わが党として各党とメディアに申し入れをしていきたいと考えているしだいであります。(拍手)

「辺野古移設」――沖縄県民の合意がなくても強行する許しがたい姿勢

 衆参の代表質問をつうじても、菅政権の政治的本質がどこにあるかは、きわめて鮮明に浮かび上がってきたと思います。

 まず沖縄・米軍普天間基地問題であります。私たちは、名護市辺野古への「県内移設」を明記した「日米合意」について、「こんな方針が沖縄県民の合意を得ることができると本気で考えているのか」と、首相にただしました。

 沖縄では、4月25日に9万人の県民大会が開かれ、「日米合意」直後の世論調査では84%が「辺野古移設反対」と答えている。「県内移設反対」の沖縄県民の意思は揺るがぬものになっている。その根源には、戦後65年間にわたって基地の重圧に苦しめられ、忍耐の限界を超えているという歴史の痛みの累積がある。私たちは、これらのことを指摘し、「県内移設」では絶対に解決ができない、この方針で県民の合意を得ることは絶対に不可能だ、この事実を直視するならば、普天間問題を解決する道は、「日米合意」を白紙撤回し、移設条件なしの撤去――無条件撤去しかない、ということを首相に強く迫りました。(拍手)

 この問題での首相の答弁で印象的だったのは、「合意を得ることができると本気で考えているのか」という質問に対して、「合意が得られる」とは言えなかったことです。「誠心誠意説明し理解を求めていく」とは言ったけれども、「合意が得られる」ということは言えませんでした。それだけ深刻な事態にあるということは、やはり彼らも認めざるを得ないのです。同時に逆にいいますと、この答弁は、県民の「合意」がなくても、一応は「説明し理解を求めた」ということで、ゴリ押しするという姿勢を示したものにほかならないものです。基地押しつけ勢力にたいして、参議院選挙できびしい審判を下し、このくわだてを打ち破り、無条件撤去への道を開こうではありませんか。(拍手)

自らの発言を簡単にひるがえし居直る――米国の忠誠を至上に

 この問題について、鳩山前首相は公約違反が問われたわけですが、菅首相にはもっと深刻な公約違反が問われるという問題を、私たちは衆参の代表質問で提起しました。

 菅氏は、つい最近まで、「海兵隊は即座に米国内に戻ってもらっていい。民主党が政権を取れば、しっかりと米国に提示することを約束する」などといっていました。また、「あそこ(沖縄)から海兵隊がいなくなると抑止力が落ちるという人がいますが、海兵隊は守る部隊ではありません。地球の裏側まで飛んでいって、攻める部隊なのです」ということまでいっていました。私たちは、この事実を指摘し、“一体そういう立場に立っていた首相が、なぜ「日米合意」をするのか、なぜそれを引き継いで実行するといえるのか”と追及しましたけれども、まともな答えはいっさいありませんでした。

 首相は、「過去にいろいろな発言をしていることを否定するものではない」、「東アジアの安全保障環境には、最近の朝鮮半島の情勢にみられるとおり、不安定性、不確実性が残っている」。こういうだけでまともな説明ができない。「政治家として当然のことだ」という開き直りの答弁をおこないました。

 自らがいったことを簡単にひるがえす、自らの県民への「約束」を簡単にくつがえす、これが「政治家として当然だ」との言い分が通るなら、およそ政治に対する国民の信頼は地に落ちるでありましょう。このような首相の発言は、政治家としての資質が根本から問われるものだということを、私はいいたいと思います。(拍手)

 沖縄県民の総意よりも、米国の要求を上におく、かつての自らの主張との矛盾を説明できなくても、ともかくも米国への忠誠を至上のものとする。菅政権が、恥ずべき対米従属政権であることは明らかであります。

 この道はかならずゆきづまり、破たんするでしょう。日本共産党はこれと正面から対峙(たいじ)して、がんばりぬきたいと思います。(拍手)

経済政策――“大企業応援政治からの転換の意思なし”が明らかに

 国民生活と日本経済の問題はどうでしょう。菅総理は「強い経済、強い社会保障、強い財政」を一体的に実現するということを言いました。そこで私たちは、いったい誰にとって「強い」のか、それが問われるということを正面からただしました。いくつかの試金石となる問題を私たちはただしました。

 まず経済の問題ですが、「大企業をもっと強くする、そうすればその利益がいずれは国民の暮らしにまわり、経済も成長する」――こういった自民党流の経済政策が破たんしたことは誰の目にも明らかです。そこでこの経済政策を転換する意思があるのかどうかを、私たちはズバリ聞きました。すなわち、「大企業応援の経済政策から国民生活応援の経済政策への転換の意思はあるか」と聞きました。しかし首相は、「第一の道」、「第二の道」、「第三の道」とか、たくさんの「道」についてのあれこれを言うのですが、肝心要のこの問いにたいしての答弁はありませんでした。

 さらに私たちは具体的な試金石として、政府の労働者派遣法「改正」案が「抜け穴」だらけのザル法になっていることを指摘し、派遣法は「抜け穴」なしの抜本改正案を出し直す意思があるのか、大企業と中小企業との公正な取引を保障するために、いまの態勢を抜本的にあらため法的規制の強化をはかる意思があるのかどうかをただしたわけですが、首相の答弁は、両方ともその意思はない、派遣法改正は「抜け穴」だらけのままのものを出し直しますと、中小企業についても現行の態勢も法制も変えるつもりはないと、こういう立場でありました。

 結局、大企業応援政治からの転換の意思なしということが、代表質問でも明らかになったのではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

社会保障――自公政権時代の「傷跡」を治す意思はなし

 それから、社会保障のあり方について、首相は「強い社会保障」と言うわけだけれども、それが自公政権時代の社会保障費削減路線によって弱体化された社会保障を立て直すという意味ならば、自公政権がつくった「傷跡」を治す意思があるのかということを、私たちは、いくつかの具体的な試金石でただしました。

 後期高齢者医療制度、医療費の窓口負担、生活保護の老齢加算、障害者自立支援法、いくつかの具体的な試金石でただしました。しかし、どの問題についても、前向きの答弁はありませんでした。自公政権時代の「傷跡」を治していくという意思は、どの問題でも表明されませんでした。

 B型肝炎の問題について、一言申し上げます。私は、この問題について原告団のみなさんから要請を受け、代表質問で、「国の責任をはっきり認め、政府として患者のみなさんに謝罪するとともに、早期全面解決のために、具体的な解決策を示し、誠実に協議を開始するべきです」とただしました。しかし、首相の答弁は、謝罪もなければ、政府としての積極的なイニシアチブ発揮の表明もない、冷酷で無責任な官僚答弁でありました。この答弁にたいして憤りが寄せられております。薬害エイズでの自らの「実績」をあれだけ誇ったにもかかわらず、いま焦点になっているこの問題については、こういう冷酷な姿勢をとっているということを、私はきびしく批判したいと思います。(「そうだ」の声、拍手)

消費税問題が大争点に――増税反対の声を日本共産党に

 財政のあり方が、大きな今度の選挙の争点となってきております。

 4月に日本経団連が発表した「成長戦略 2010」で、法人税減税と一体で消費税増税が打ち出されました。これについて、「あまりにも身勝手だとは思わないか」と私たちはただしました。しかし、これにたいしても、「身勝手だとは思わないか」という肝心な設問にたいして、首相からの答弁はありませんでした。

 さらに民主党の参議院政策には同じ方向のものが書き込まれる――法人税減税と消費税の増税が書き込まれるという報道がなされています。「財界の身勝手につき従うのか」とただしたわけですが、これも答弁なしです。否定しなかったというところが重要ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 自民党との質疑のなかで菅首相は、「消費税の扱いは参院選公約で最終的な方向性ができたところなので、数日内に提起できます。基本的には消費税だけではなくて、所得税、さらには法人税をあわせて検討しています」。すなわち、法人税減税と消費税増税をセットで検討しているという答弁をしました。

 こうして、消費税増税問題は、参議院選挙の大争点に浮上してきたと思います。大企業減税の穴埋めの消費税増税には絶対に反対――この声を広げに広げましょう。そして、その声を日本共産党に託してほしいということを大いに訴えていこうではありませんか。(拍手)

米国と財界への忠誠――この政権と正面から立ち向かう日本共産党の頑張りどころ

 こうして、衆参の代表質問を通じて、菅政権の本質ははっきり浮かび上がってきました。それは米国に忠誠を誓い、財界に追随し、国民には背を向けるという立場であります。ここにはっきり踏み込んだ政権だという姿が、浮き彫りになったのではないでしょうか。こうした道と国民の利益との矛盾は一層広がらざるを得ないでしょう。

 そしてまさに、私たち日本共産党のがんばりどころの情勢であります。米国と財界への忠誠と追随を明確にした政権と正面から立ち向かう立場をもっているのは、日本共産党しかないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 国民の切実な要求から出発しながら、その打開の展望を大いに語っていこうではありませんか。日本共産党こそ、どの問題でも政治のゆきづまりの打開の展望が示せる党だということを語りぬこうではありませんか。(拍手)

米国と財界に、さらに世界に、事実と道理をもって働きかける

 私たちは、今度の選挙で党の押し出しの一つとして、「米国と財界に、国民の立場でモノが言える党」、これを大いに訴えていこうということをいっております。これはまさに全党の実践を踏まえて打ち出すことができるようになったスローガンであります。

 こういう訴えができるのは、「異常な対米従属」、「財界・大企業の横暴な支配」を打ち破って、「国民が主人公」の新しい日本をつくろうという綱領的展望をもっている党だからです。だからこそこの立場に立った行動もできるし、こういうスローガンを打ち出すこともできるということも、大いに語ろうではありませんか。

 この問題にかかわって最後に一言、私たちは、世界にたいしても、事実と道理をもって働きかけをやってきているということを、いっておきたいと思います。NPT(核不拡散条約)再検討会議に出席し、「核兵器のない世界」を目指す活動もそれであります。NPT再検討会議は、重要な一歩前進の成果を収めたわけですが、最近、カバクチュランNPT議長から、私あてに書簡が届けられました。カバクチュラン議長とは、5月2日にニューヨークで会談し、帰国後も再度の要請をおこなうなど、核兵器廃絶のための議長の奮闘について、私たちは被爆国の政党として支援の気持ちをつたえ、成功を収めてほしいということをいろいろな形で伝えてきたわけですが、先方から返書が届きました。

 「私は、NPT再検討会議に参加した各国政府が時間枠を定めた核兵器廃絶とともに、核兵器禁止条約(NWC)の真剣な検討の要求に耳を傾けることを確かなものとするあなたの努力に感謝するものです。あなたの努力がこの会議のプロセスに極めて大きな貢献となり、2010年NPT再検討会議の大きな成功に役立ったことは確実です。私の尊敬の念をお受け取りください」

 こういう手紙が私たちのもとに送られてきたことも、報告したいと思います。(拍手)

 私たちは、事実と道理に立って、米国や財界に働きかけてきたというだけではありません。国際政治にたいしても、そうした働きかけをおこなってきた党であります。それは、私たちの綱領が21世紀の世界像を見定めているからです。20世紀に起こった世界の構造変化を踏まえて、21世紀の世界というのは、すべての国が対等・平等の権利をもって、国際政治に主人公として参加するという新しい時代が訪れている。そういう世界像を見定めていることは、ああいう行動をおこなう基礎となりました。日本の原水爆禁止運動と協力して、私たちが、「核兵器のない世界」にむけて、国際政治を一歩前に動かすうえで貢献をなすことができたということも、全党の確信にしようではありませんか。

 米国と財界に、さらに世界に、事実と道理をもって働きかける党の値打ちに確信をもって、この選挙をたたかい抜こうではないかということを最後に呼びかけ、みんなの力で必ず躍進を勝ち取ることを重ねて呼びかけて、私のあいさつといたします。ともにがんばりぬきましょう。(大きな拍手)





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