2010年6月25日(金)「しんぶん赤旗」

アメリカと財界に、国民の立場でモノを言える党

日本共産党の躍進で暮らしと平和に明るい展望を

参院選 東京での党首第一声 志位委員長の訴え


 参院選の公示にあたり、日本共産党の志位和夫委員長が東京・新宿駅西口で行った第一声は次の通りです。


写真

(写真)訴える志位和夫委員長=24日、東京・新宿駅西口

 みなさん、おはようございます。(「おはようございます」の声、拍手)

 いよいよ、歴史的な参議院選挙が始まりました。

大企業減税のための消費税増税――増税大連合にきびしい審判を

「消費税10%」――日本国中で悲鳴・不安・怒りが広がる

 消費税大増税問題が、選挙戦の大争点となりました。

 民主党と自民党がそろって、「消費税率10%」を公約としたことに対して、「これではとても暮らしが立ち行かない」「商売が続けられない」など、日本国中で悲鳴と不安と怒りが広がっております。

 税率10%といいましたら、4人家族で年間平均16万円もの負担増です。現在の5%分もあわせると、消費税だけで34万円もの税金が取られることになります。まるまる1カ月分のお給料が持っていかれることになります。

 消費税というのはもともと、所得の少ない方々、立場の弱い方々に重くのしかかる税金です。大企業は1円も負担しない、最悪の不公平税制が消費税であります。(「そうだ」の声、拍手)

何のための消費税増税か――財政再建でも社会保障財源でもなく大企業減税のため

 くわえて、何のための消費税増税か、これが問題です。

 菅首相は、一昨日の日本記者クラブ主催の党首討論会で、「消費税の引き上げは、福祉の財源のためだ。財政の再建のためだ」。こういいました。私は、その場で反論いたしました。民主党のマニフェストをよく見てください。それを見ますと、「強い経済」の目玉として、「法人税率の引き下げ」と書いてあるではありませんか。「強い財政」の目玉として、「消費税の増税」が書いてあります。つまり、消費税の増税は、大企業の法人税の引き下げとセットで打ち出されているではありませんか。

 実は、この方針書を書いたのは、財界です。財界の総本山の日本経団連は、今年4月に発表した「成長戦略2010」で、「消費税は一刻も早く引き上げろ」、「法人税は引き下げろ」という号令をかけました。こんどの選挙で、民主党と自民党がそろって「消費税10%」と法人税の減税をセットで打ち出しているのは、この財界の方針書にこたえた動きにほかなりません。

 こうした財界の身勝手な要求に従ったらどうなるでしょう。財界は、法人税の実効税率を40%から25%に大幅に下げろといっています。政府・経済産業省も、6月に出した「産業構造ビジョン2010」で、法人税減税で25%という数字を出しています。25%まで法人税を引き下げますと、なんと9兆円も、税収に穴があくんです。消費税5%増税で新たにつくられる財源は11兆円ですから、そのほとんどは大企業減税の財源に使われてしまうではありませんか。(拍手)

 消費税増税の目的は、財政再建でも、社会保障財源でもありません。大企業減税のための財源づくり。ここにこそ、本当の目的があります(拍手)。その真相をぜひ見極めていただきたいということを、心から訴えたいと思います。(大きな拍手)

 みなさん。これは国民が体験ずみのことではないでしょうか。1989年に消費税が導入されたときも、「福祉のためだ」ということが、さんざんいわれましたね。ところが、この20年余で、「消費税のおかげで良くなったなあ」と思える福祉が、一つでもありますか(「一つもない」の声)。医療も、年金も、介護も、切り下げにつぐ切り下げではないですか。みなさんが払った消費税はどこへ行っちゃったのか。22年間でみなさんが払った消費税の総額は、224兆円です。同じ時期に法人3税の減収の総額は208兆円です。みなさんが、額に汗して働き、納めた消費税は、大企業減税の穴埋めに使われた。これがことの真相だったじゃありませんか(「そうだ」の声、拍手)。こんなことを二度と繰り返してはならないということを私は訴えたいのであります。(大きな拍手)

「日本の法人税は高すぎる」――事実と違う財界の身勝手なキャンペーン

 財界は、都合のいい数字を使って、「日本の法人税の実効税率40%は高すぎる」といいます。しかしみなさん、これは事実と違います。

 第一に、日本では大企業のためのいろいろな優遇税制――「研究開発減税」とか「外国税額控除」とか、そういう仕組みがありまして、大企業の上位100社が実際に負担している法人税率は、30%程度でヨーロッパと変わらないのです。さらに、多国籍企業化している巨大企業はどうか。ソニーが払っている法人税負担率は12%ですよ。住友化学は16%です。パナソニックは17%です。まともな税金を払ってないじゃないですか(「そうだ」の声)。これ以上安くしろというのは、あまりにも身勝手な話ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 第二に、日本の企業の社会保障負担は、ヨーロッパに比べてずっと低いんです。ですから、税金と社会保険料を合わせますと、政府の統計でも、日本の大企業の負担はフランスの7割程度にすぎません。

 「法人税が高すぎる」というのは、財界の身勝手なキャンペーンであって、事実ではありません。高すぎるという根拠はありません。世間並みの負担をしてもらうのが当たり前なのであります。(拍手)

 みなさん。大企業減税のための消費税増税には絶対反対――この願いを日本共産党に託してください。(大きな拍手)

「与野党協議」――消費税増税のための大連合を許すな

 事態は切迫しています。民主党は、消費税増税のための「与野党協議」を呼びかけています。自民党は「受けて立つ」と言っています。公明党やみんなの党も、先々は消費税増税という立場です。こういう党に日本の政治をまかせたらどうなるでしょう。「赤信号みんなで渡れば怖くない」とばかりに、消費税増税の大連合がつくられてしまうではありませんか。

 みなさん。日本共産党は、消費税が導入されたときにも、増税されたときにも、一貫して反対を貫いてきた日本でただ一つの政党です(拍手)。暮らしを壊し、日本の経済を壊す消費税増税の大連合に、日本共産党の躍進できびしい審判を下そうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

大企業応援から国民生活応援へ――経済政策の大本からの転換を

菅首相の「第三の道」――破たんした自民党流の経済政策の焼き直し

 国民生活と日本経済をどう立て直していくのか。

 この10年間の日本経済を見ますと、大企業はもうけを2倍以上に増やしておりますが、働く人の賃金は総額で1割も下がりました。その結果、国全体のGDPはまったく伸びていません。大企業がもうけたお金はどこに行ってしまったのか。10年間に大企業の内部留保――ため込み金は142兆円から229兆円に膨らみました。大企業は強くなったけれども、国民は貧しくなり、経済成長が止まってしまった。こんな異常な事態に落ち込んでいる国は、世界の主要国で日本しかありません。

 「大企業を強くする、そうすればいずれはその利益が国民の暮らしに回り、経済が成長する」――こういう自民党流の経済政策が破たんしたことは、10年間を見れば明らかではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 菅首相は、「強い経済、強い財政、強い社会保障」と言っています。しかし、その中身は法人税減税で大企業をもっと強くするというものでしょう。菅首相は、自分の政策を「第三の道」などと言い、さも新しい道であるかのように言いますけれども、何のことはない、破たんした自民党流の大企業応援の経済政策の焼き直しというのが、その正体ではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」を

 大企業応援から国民生活応援に経済政策の転換が必要です。

 みなさん。人間をモノのように「使い捨て」にする派遣労働を抜本的に規制し、「雇用は正社員が当たり前の社会」をつくろうではありませんか。(拍手)

 大企業による下請けいじめをやめさせ、大企業と中小企業との公正な取引のルールをつくろうではありませんか。(拍手)

 お年寄りを「うばすて山」に追いやる後期高齢者医療制度はきっぱり廃止しようではありませんか。(拍手)

 高すぎる医療費の窓口負担を引き下げ、まず高齢者と子どもの医療費は国の制度として無料にしようではありませんか。(拍手)

 障害者自立支援法の応益負担を、撤廃しようではありませんか。(拍手)

 認可保育所の増設で待機児を解消し、国の施策として総合的な子育て支援をやらせようではありませんか。(拍手)

 国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」をつくろう。この願いをどうか日本共産党にお寄せください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

政治の姿勢を変えれば、社会保障と暮らしを支える財源はつくれる

 財源は心配いりません。民主党政権は、「事業仕分け」なるものを大騒ぎしてやっていますけれども、事業仕分けの対象にさっぱりなっていないものがあるではないですか。

 年間5兆円の軍事費にこそ、縮減のメスを入れるべきではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。わけても米軍への「思いやり予算」など、史上最高の3370億円に膨れ上がった米軍関係予算は、ただちに全廃しようではありませんか(拍手)。負担能力のあるところから税負担を求めるというのが日本共産党の主張です。ゆきすぎた大企業と大資産家への減税を見直して、もうけ相応の負担を求めていこうではありませんか。(拍手)

 さらに、大企業の過剰な内部留保と利益を、雇用に還元させる。正社員を増やし、賃金の底上げをはかる。中小企業に還元し、下請け単価をまともなものにする。社会に還元させる。そうすれば家計・内需主導の日本経済の健全な発展が生まれますね。そうすれば新たな税収も生まれてくるではありませんか。

 政治の姿勢を大本から転換すれば、消費税増税にたよらなくても安心できる社会保障の財源はつくれます。ですから、みなさん、どうか安心して増税反対の声をあげようではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

普天間基地の無条件撤去――アメリカ政府にきっぱり伝える

米国いいなりに立場を変えた菅首相――海兵隊は「抑止力」でなく「侵略力」

 沖縄・普天間基地の問題も重大な争点です。

 沖縄に新しい基地を絶対につくらせない――これは党派を超えた県民の総意です。民主党政権が、名護市辺野古のサンゴとジュゴンの美しい海を埋め立てて海兵隊の巨大基地をつくる「県内移設」の「日米合意」を結んだことは、この沖縄県民の総意を踏みにじるものであり、断じて許すことはできません。(「そうだ」の声、拍手)

 アメリカ政府は、「地元の合意」がないところには、基地をおかない、これを基本原則にしていると聞きます。しかし、みなさん、「地元合意」が得られる場所は、沖縄はもとより日本国内のどこにもないではないですか。(「そうだ」の声、拍手)

 そうであるならば、普天間問題の解決のためには、移設条件なしの撤去――無条件撤去を求めて、アメリカと本腰の交渉をおこなうことが必要だということを、政府に強く求めたいと思います。(「そうだ」の声、拍手)

 「日米合意」をみますと、「海兵隊は日本を守る抑止力」だと書いてあります。しかし、沖縄の海兵隊が実際に展開している先は、イラクとアフガニスタンではないですか。普天間にいる海兵隊は、1年のうち半分は海外にでかけていっているのです。これでどうして、「日本を守る抑止力」だといえるでしょうか。海兵隊は「抑止力」なんかではありません。沖縄と日本を根城に世界に攻め込む「侵略力」こそ、その正体だということを、私はいいたいと思います。(大きな拍手)

 実は、菅さんは首相になる前は、「海兵隊は抑止力ではない」、「地球の裏側にまで行って攻める部隊だ」、「アメリカ国内に戻ってもらう」、このように発言していました。菅さんも首相になる前は真実をのべていたではありませんか。そこで私は、国会で、「どうして立場を変えたのですか。説明してください」と質問しましたが、さだかな答弁は返ってきません。先日の日本記者クラブの党首討論会でも同じことをただしたのですが、菅さんはもごもごいうだけで、まともな答えがありません。

 要するにアメリカから言われたから立場を変えたんですね。アメリカいいなりに自分の主張を平気で変え、県民への約束を平気で反故(ほご)にする。これこそ恥ずべき従属政治以外の何ものでもないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

米国政府に、沖縄県民の総意、沖縄の歴史、普天間問題解決の道を伝える

 私は、5月上旬に、アメリカを訪問し、アメリカ政府と会談をしまして、沖縄問題、基地問題についての私たちの考えを伝えました。

 日本共産党とアメリカ政府の間には、基地問題で立場のきびしい対立があります。しかし、立場が違う相手でも否定できない事実と道理はあるはずです。私は、まず沖縄県民の総意がどこにあるかについての事実を伝えました。また、県民の思いの根源にある沖縄の歴史を話しました。凄惨(せいさん)な地上戦を体験し、占領下で土地を強奪され、戦後65年にわたって基地による重圧のもとにおかれ、痛ましい事件と事故が繰り返されてきた、苦難の歴史を語りました。そして、普天間問題の解決の道は無条件撤去しかない。このことをきっぱりと米国政府に伝えてまいりました。(大きな拍手)

 6月7日に私は、沖縄を訪問しまして、嘉手納基地を抱える嘉手納町の宮城町長にお会いしました。宮城町長は私にこう語りかけてきました。「われわれ沖縄県民に非常に立派なことをいう国会議員がズラッといるわけです。しかしアメリカに行って何も言いませんでした。私は、今回の共産党の訪米が一番意味があったと思います。日本の国会議員が、公党のトップが行かれて、きちっとわれわれの気持ちを、向こうには非常に苦い話を語られたのは、ものすごく意味があったと思います」。このように話してくださいました(拍手)。嘉手納町といいますと、町の面積の83%は基地なのです。日本の自治体の中で最も基地の重荷に苦しんでいる自治体の責任者から、こういう評価をいただいたことをご報告しておきたいと思います。(拍手)

 みなさん。本来こういう仕事は、日本政府がやるべき仕事ではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

日米安保条約を廃棄し、日米友好条約を――そこにつながる第一歩

 米国政府との会談は、きびしいやりとりになりましたが、最後に先方からこういう言葉がありました。「立場は違っても、意見交換は有益です。民主主義の基本です。これからも続けましょう」。私も、「それは重要なことです」と同意しました。立場は違っても意見交換をしていく、そういうルートが日本共産党とアメリカ政府との間で開けたことは、今後にとって重要ではないでしょうか(拍手)。今後も、私は、節々で、日本国民の利益にたって、米国に言うべきことはきちんと伝えていきたいと考えております。(拍手)

 そして、私たち日本共産党は、将来は、国民多数の合意を得て、アメリカいいなり政治の大本、日米安保条約を廃棄して、本当の独立国といえる日本をつくろうと提案しています。このときに日米安保条約を廃棄して、「アメリカさん、さようなら」と縁を切るわけでは、もちろんありません。日米安保条約にかえて日米友好条約を結ぼうというのが日本共産党の提案であります(拍手)。そうなってきますと、そのときには安保条約廃棄のための通告とともに、日米友好条約を結ぶための対話と交渉が必要となります。私たちが始めた今回の米国政府との対話は、ゆくゆくはそこまでつながる第一歩をしるしたものといえると思います。(拍手)

 みなさん。消費税増税の動きの大本には“財界いいなり”の政治があります。普天間基地問題の大本には、“アメリカいいなり”の政治があります。

 相手が、アメリカでも、財界でも、国民の立場に立って堂々とモノが言える日本共産党の躍進こそ、国民のみなさんの暮らしを守り、平和を守る、一番の力となるのではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 私も今日を出発点に全国を駆け巡って躍進の先頭に立つ決意をもうしあげまして、第一声とさせていただきます。(「がんばれ」「応援するぞ」の声、大きな拍手)





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