2010年6月30日(水)「しんぶん赤旗」
民主・自民 消費税増税の目的隠し
公明・みんなの党・国民新 にわかに“反対”
動かぬ証拠こんなに
消費税増税が参院選の大争点となるなか、民主党や自民党が“増税の目的隠し”に走り、公明、みんなの党、国民新党などが、にわかに“消費税増税反対派”となるなど本音を隠す動きが目立ちます。しかし、これらの各党が実際は消費税増税派であることには動かぬ証拠があります。
法人税引き下げ明記
菅直人首相は消費税“10%発言”が批判をあびると、「消費税は高齢者福祉に充てる」「高齢者の部分が17兆円、消費税の国の分は7兆円ですから、10兆円足りない」などと言い訳をしています。
しかし、菅首相は、「自民党が提案している(消費税)10%を一つの参考にしたい、と申し上げた。そのこと自体は公約と受け止めていただいて結構だ」(21日)と述べていました。マニフェストでは「強い経済」の柱に「法人税率引き下げ」を明記し、「強い財政」の柱に「消費税を含む税制の抜本改革」をあげています。大企業の法人税減税の「穴うめ」のための消費税増税を狙っているのは明らかです。
菅首相が18日、財界3団体(日本経団連、日本商工会議所、経済同友会)と行った懇談では、日本経団連の米倉弘昌会長(住友化学会長)から、消費税増税と法人税減税について「本当に勇気づけられた」と大歓迎されました。
自民党の谷垣禎一総裁も「社会保障制度もきちんとし、将来に責任をもつ」「私どもの消費税は違う」などと述べています。しかし、自民党は、公明党との連立政権で社会保障費の自然増分から毎年2200億円も削り、国民の将来を不安に陥れ、生活を破壊してきました。自民党はマニフェストで「(消費税は)当面10%」「法人税率…20%台に」と大企業の法人税引き下げと引き換えの消費税増税であることを明記しています。
税制「改正」法で…
にわかに“消費税増税反対”を唱える政党もあります。
公明党は「借金の穴埋めに消費税を増税する、そんなことはやらせてはならない」(山口那津男代表)と演説しています。
しかし、自民党とともに09年3月に強行した税制「改正」法の付則で、11年度までに「消費税を含む税制の抜本的な改革を行う」「消費税の税率を検討する」と明記し、「法人の実効税率の引下げを検討する」とした根っからの増税政党です。
みんなの党は「消費税を上げる前にやることがあるだろう」(渡辺喜美代表)、「みんなの党が議席を伸ばして消費税10%をけとばすのか問われている」(江田憲司幹事長)と言います。ところが、参院選公約では、3年間の「集中改革期間」のあとは「社会保障の財源のあり方を、所得税、消費税、相続税を含め検討」とするとしており、消費税増税論議を否定していません。「地方消費税の充実」を主張する点でも政府の税制「改正」大綱と同じ立場です。
与党の国民新党にいたっては、政権与党なのに「(消費税は)断固許しません」(亀井静香代表)と「野党」ポーズの発言。しかし、消費税増税と法人税減税の方向性を明記した政府の税制「改正」大綱に、亀井代表が福島瑞穂社民党党首とともに、閣僚として署名しており、言行不一致が問われます。
新党改革、たちあがれ日本、日本創新党は、それぞれ消費税増税を主張しています。
消費税をめぐる動き
1979年 大平内閣 一般消費税導入を閣議決定。総選挙で日本共産党が躍進し、増税計画ストップ
87年2月 中曽根内閣 売上税法案を提出。4月のいっせい地方選で大敗、法案廃案
88年12月 竹下内閣 消費税導入を強行。89年4月から3%課税実施
94年2月 細川内閣が消費税を国民福祉税(税率7%)にする構想発表、撤回
同年 自民、社会(現・社民)、新党さきがけの村山内閣が97年4月から5%への引き上げ強行
97年 橋本内閣が税率5%実施。
2003年 日本経団連「奥田ビジョン」で「2007年度に10%」
07年7月 安倍首相が「上げないなんてことは一言も言っていない」と発言。参院選で自民大敗
09年3月 麻生内閣 11年度までに「消費税を含む税制の抜本的改革」「法人実効税率の引き下げ検討」とした税制「改正」法が自公の賛成で成立
10年6月 菅首相が「10%を参考に引き上げ」と発言。与野党協議呼びかけ