2010年6月30日(水)「しんぶん赤旗」

定年後再雇用の雇い止め

「権利侵害 賃金払え」

大阪高裁が仮処分決定


 60歳の定年退職後に1年ごとの契約により64歳までの再雇用を就業規則で定めた職場に再雇用され、2年目の契約更新時に雇い止めされた労働者の地位保全と賃金仮払い処分を求めて申し立てていた件で25日、大阪高裁(前坂光雄裁判長)が賃金仮払いを命じる決定を出しました。

 原告の小牧明さん(62)、渡辺輝人弁護士、森下宇太郎・化学一般労連京滋賀地方本部書記長が29日、京都市で記者会見して明らかにしたもの。同弁護士は「健康上の問題や就労意欲等の問題がない限り、(段階的に)65歳まで再雇用を確保する『改正・高年齢者雇用安定法』(2006年度施行)に基づく再雇用後の雇い止めについて権利侵害にあたるとした司法判断は全国初」といいます。大阪高裁決定は、今月から半年間、月額16万円の賃金仮払いを命じる内容。地位保全については認められませんでした。

 小牧さんは、マネキン製造会社(向日市)でマネキンの顔製造に長年従事した後、子会社に移籍して倉庫業務をおこない、定年後の再雇用契約を結んだ1年後、2009年6月、「不況」を理由に解雇されました。

 同高裁の決定は「再雇用契約の実質は、期間の定めのない(正規)雇用契約に類似するもの」とし「本件雇い止めは解雇権濫用(らんよう)の類推適用」だとしています。

 小牧さんは「高裁で勝利し、一刻も早く職場に戻って働きたい」と話しました。





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