2010年7月5日(月)「しんぶん赤旗」
大企業減税のための消費税増税 事の真相すっかり明らかに
志位委員長と菅首相とのTV討論で
“くらし応援の経済成長戦略”へ転換を
参院選の投票日が1週間後に迫った4日、公示後初めての党首討論がNHK・民放の3番組で行われ、日本共産党の志位和夫委員長は、菅直人首相にずばり、消費税増税の目的は大企業減税のためではないかと迫るとともに、「暮らし応援の経済成長戦略」への転換こそ必要だと力説しました。首相の消費税増税の口実が破たんするとともに、「ギリシャのようになる」という脅しもまったく通用しないことがはっきりしました。(詳報)
志位氏は「消費税の増税は大企業の法人税引き下げとセットで押し出されていることが重大だ」と指摘。財界や経済産業省の方針の通り法人税を15%引き下げた場合、税収に9兆円の穴が開き、消費税の5%増税で生じる財源11兆円のほとんどが大企業減税に消えてしまい、社会保障財源にも財政再建にもならないことを示し、「消費税増税に絶対反対」の立場を表明しました。
菅首相は、9兆円の穴は、いまよりも法人税収が多かったときの計算だといいわけ。志位氏が「首相は3%の成長を目指すわけだから、そのときには同じ穴が開く」とぴしゃりと批判すると、それ以上は何も言えなくなりました。
また菅首相は「法人税の課税ベースを広げれば法人税収を変えないでいることは可能」だなどとも釈明しましたが、志位氏は、民主党のいう「課税ベースの拡大」とは租税特別措置の見直しのことだが、民主党は研究開発減税の恒久化などを掲げており、新たな財源は「どうカウントしても数千億円程度にしかならず、9兆円とは1けた違う」と強調しました。
こうした論戦のなかで、菅首相は、日本の法人税は「(高すぎて)国際的な競争の中で突出している」などと引き下げる立場を鮮明にしました。これに対して志位氏は、日本の大企業上位100社の法人税の実質負担率は30%にすぎず、ソニーなどは12%だと指摘。「『国際競争力』だといって、下げるのは当たり前だというのは、財界の論理に屈したものだ」と批判しました。
これらの批判を前に、ギリシャの財政破たんを持ち出して国民への“脅し”に出るしかない菅首相。志位氏はこの問題でも、「ギリシャはこの10年間で法人税を40%から24%に下げ、消費税を5%上げた。菅さんがやろうとしていることを先取りしてやったのがギリシャだ」と痛烈に批判しました。
志位氏は、経済政策の問題で、大企業だけを応援する政治によって経済成長も財政再建も「共倒れ」になったのがこの10年だったと指摘。労働者派遣法の抜本改正、大企業と中小企業の公正な取引のルールづくり、後期高齢者医療制度のすみやかな撤廃などで、「暮らし応援の経済成長戦略」への転換を求めました。
NHK番組では、影山日出夫解説委員から「消費税は上げる、法人税は下げる。これは民主党政権が家計重視から企業重視の方向にかじを切ったということなのか」との質問も出ました。志位氏は「結局、菅さんと議論して明確になったのは、消費税は上げるが、法人税は下げるということだ。このやり方こそ、この10年間の(日本経済の)長期低迷と衰退を招いてきたやり方だ。自公政権がやってきたやり方の焼き直しだ」と強調しました。