2010年7月17日(土)「しんぶん赤旗」

B型肝炎 東京訴訟

長男が社会に出るまで 生きたい

理不尽な国を批判


 全国B型肝炎東京訴訟の口頭弁論が16日、東京地裁(大段亨裁判長)で開かれ、原告の福田聖(きよし)さん(45)が意見陳述しました。


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(写真)口頭弁論前に東京地裁前で宣伝する原告と支援者=16日、東京・霞が関

 福田さんは「長男が13歳で障害があります。せめてこの子が大学を出るまで、社会に出るまでは生きていたい。私の妻には病気があります。残していくことはできません。一日でも長く生きていたい。どうか一日も早く全面的な救済がなされますよう強く希望します」と声を詰まらせながら訴えました。

 先行する札幌地裁の和解協議で国は「母子手帳の提示」か「母子手帳」に代わる予防接種を受けた記録の提示を求めていますが、これは立証責任を被害者に転嫁し、「無いものを出せ」という理不尽な要求です。

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(写真)記者会見で訴える原告の福田聖さん(左から2人目)=16日、東京・霞が関

 福田さんは幼少期、北海道札幌市に住んでいたときに集団予防接種を受けていますが、それを証明する母子手帳は紛失しています。その上、2001年度の住民基本台帳法の施行により北海道にいたときの住民票も存在せず、居住していた公的な書類は存在しません。

 福田さんは「住民票も存在しない状態で集団予防接種の記録をどのように探し出せばよいのか。どうやって証明すればいいのか素人の私にはその手段すら思いつかない」と訴えます。

 福田さんは1981年、献血のため病院に行ったときにB型肝炎のウイルスが検出されましたが、その後、特に症状もなく無症候性キャリアとして過ごしてきました。

 2006年5月の健康診断で基準値を超える数値があり、様子を観察することになりました。福田さんは考古学関係の仕事で発掘調査などフィールドワークを行っていますが、その年は屋外での仕事中、下痢や嘔吐(おうと)などを繰り返しました。10月に受けた健康診断でも数値が高く、普段通っていた医院で診察を受けると「慢性肝炎」と確定診断されました。医師からは「C型肝炎のように肝硬変を経て肝がんに移行するのではなく、突然肝がんに移行する可能性がある」と言われています。

0〜6歳在住で事実立証は十分

 全国B型肝炎訴訟弁護団の奥泉尚洋弁護士は「予防接種を受けたかどうかの認定をどうするか。私たちは予防接種を受けなかった国民はほとんどいないと考えている。0〜6歳の間に7〜10回程度予防接種を受ける機会があり、予防接種を受けなかったという乳幼児は1万人に1人いるかどうか。0〜6歳の間に日本に住んでいたことが立証されれば、予防接種を受けた事実は十分である」と語りました。





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