2010年7月21日(水)「しんぶん赤旗」
築地市場移転予定地
「4万3000倍のベンゼン浄化」→実験したのは2.7倍
都がデータ隠し「安全宣言」
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東京都が築地市場(中央区)の移転予定地にしている東京ガス工場跡地(江東区豊洲)の汚染土壌処理実験で、都は環境基準の4万3000倍のベンゼン汚染土壌を「環境基準以下」に浄化したと発表していましたが、実験した土壌の汚染濃度(初期値)は基準の2・7倍にすぎなかったことが20日、明らかになりました。都はこの事実を隠して、事実上の「安全宣言」を行いましたが、今回判明した問題は都の実験の信頼性を覆すもので、厳しい批判があがっています。
都は今年2月から6月にかけて16カ所で汚染物質の処理実験を実施。3月に発表した中間報告は、5カ所のデータの一部を公表しただけで肝心の汚染データの初期値は公表せず、「確実に汚染物質を無害化できることが実証された」と「安全宣言」を行いました。
問題の地点は、2008年の都の詳細調査で環境基準の4万3000倍のベンゼンが検出された第6街区(水産仲売場予定地)。また08年調査で基準の3・4倍のヒ素が検出された6街区の別の地点では、初期値は基準を下回っていました。
都中央卸売市場では「22日に開く技術会議でデータを示し説明する」としています。
石原慎太郎知事は、実験のデータすらまともに公表しないまま3月都議会に市場の移転予算を提案。日本共産党などが反対しましたが、民主、自民、公明の3党が付帯決議つきで可決しました。
この問題をめぐって、日本共産党都議団は4回にわたって公文書の開示請求を行いましたが、都が開示した文書は初期値をはじめ、ほとんどのデータを墨塗りで隠ぺいしていました。
「実験」の信頼性根底から崩れた
日本共産党都議団・清水ひで子副幹事長の談話 わが党は都の実験の「中間報告」が発表された翌日の3月11日の都議会予算特別委員会で、都が初期値を隠していることを告発するなど、「適用実験」が欺まん的なものであることを一貫して告発してきました。
今回一部のデータが明らかになったことで、実験の信頼性が根底から崩れたと言わざるを得ません。環境学会など幅広い専門家の参加のもとに、都民と都議会をあざむく都の汚染処理対策を根本的に検証することが必要です。