2010年7月23日(金)「しんぶん赤旗」
イラク侵攻→テロ脅威増
イギリス 情報機関元長官が見解
【ロンドン=小玉純一】英国のイラク戦争を検証する独立調査委員会の公聴会で20日、証言した同国情報機関「MI5」のエリザ・マニンガムブレア元長官は、2003年の米英によるイラク侵攻の結果、テロの脅威が増大したという見解を示しました。
マニンガムブレア元長官は02年から07年までMI5長官でした。調査委は公聴会で、元長官が開戦1年前の02年3月に内務省官僚トップに送った書簡を公表しました。
そのなかで元長官は、アルカイダによる01年9月11日の米同時テロにイラクがかかわったとする「信頼できる情報は無い」とし、イラクのフセイン大統領(当時)は「(自身の)体制の存続が脅かされている」と認識しなければテロ攻撃を命じることは「ありそうもない」と指摘していました。
公聴会で元長官は、米英のイラク侵攻がアルカイダにイラクでの「聖戦」の火をつけさせたと指摘。英情報機関が、イラク駐留外国軍とたたかうためにイラクに渡った英国生まれのイスラム教徒70〜80人を特定し、01〜08年に英国内で16件のテロの企てを突き止めたが、05年7月のロンドンでの同時テロは阻止できなかったと証言しました。
そのうえで「(イラク侵攻が)疑いなくテロの脅威を増大させた」と述べました。
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