2010年7月26日(月)「しんぶん赤旗」
違反物質検出続く輸入ウナギ
合成抗菌剤が残留
関係者「安心・安全な国産こそ」
きょうは「土用の丑」
きょう26日は「土用の丑(うし)」。猛暑でばて気味のあなたも、元気回復に効果ばつぐんのウナギを食べてこの夏を乗り切りましょう。
ただ、「健康を害する恐れのある輸入ウナギには、注意が必要です」と話すのは、農民連食品分析センター所長の石黒昌孝さん(79)です。
厚生労働省の各地の検疫所が実施している輸入時の検査によると、昨年1月から最近までに、輸入ウナギから19件の食品衛生法違反の物質が検出されています。(表)
違反物質は、エンロフロキサシンやロイコマラカイトグリーン、フラゾリドンなどの合成抗菌剤です。これらが残留しているものは、食品衛生法で安全上の観点から使用や輸入が禁じられています。
なぜ、合成抗菌剤が検出されるのか。石黒さんはいいます。
「輸入ウナギの場合、もうけが優先されるので、早く多く育てようと、過密な状態で水温も高いところで養殖します。そうすると、どうしてもウナギは病気になりやすい。だから、こうした薬品を入れて、病気を防ごうとするのです」
また、最近の輸入ウナギの法違反の特徴は、「命令検査」によるものが大半だということです。
「命令検査」とは、輸入食品の数%(届け出件数ベース)を検査する「モニタリング検査」では違反を防げない場合、すべての輸入食品(同)を検査対象にする措置です。
石黒さんは「輸入ウナギが命令検査の対象になっているということは、違反物質が入っている確率が極めて高いことを示している」と指摘します。
日本養鰻(ようまん)漁業協同組合連合会によると、国内のウナギ消費量のうち、国内生産(養殖)が32・5%、中国からの輸入が57・6%、台湾からの輸入が9・4%(2009年実績)。
また、中国産ウナギの70%(09年、財務省貿易統計、金額ベース)が、ウナギ加工品状態(かば焼き)で入ってきます。
石黒さんは「ウナギをむこうで焼いて輸入するのは、人件費を安くするためです。その分、国内のウナギ加工関係の雇用を奪っていることにもなります。国産を食べることは、安心・安全であるだけでなく、国内の雇用を増やすことにもつながります」と強調しました。
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