2010年7月31日(土)「しんぶん赤旗」
介護療養病床廃止に固執
厚労省社保審部会が示す
厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会が30日に開かれ、同省は介護療養病床廃止の方針に固執する姿勢を示しました。
介護療養病床は、介護と医療の両方を必要とする患者が長期にわたって療養するための介護療養型医療施設の病床。現在、全国に8万9033床あります(2月時点)。
同部会で厚労省は、介護療養病床を廃止した場合に患者の居場所を確保できるか懸念する声にふれつつ、廃止を凍結すれば「本来介護保険施設において処遇されるべき患者が療養病床で処遇される、いわゆる『社会的入院』につながる」との廃止推進論を示しました。
さらに厚労省は、介護療養病床の転換先とされる転換型老健(介護療養型老人保健施設)への転換が進まない中で、新たな転換先として医師・看護師を配置した「特養類型」の創設を提案。今年2月から6月にかけて行った患者などの調査結果をまとめた上で、廃止までの「猶予」期間を置くことを含めて検討し、夏のうちにも方針を固める考えを示しました。
転換型老健には介護療養病床の3分の1しか医師がおらず、24時間の対応ができません。介護療養病床には医療の手間がかかる患者が入院しているため、「(廃止で)出された方はどこにいけばいいのか。残すべきだ」など廃止反対の意見が委員から続出しました。
自公政権は医療費削減のために11年度末までに介護療養病床を廃止する方針を決定。民主党は昨年の総選挙時に「療養病床削減計画を凍結」と公約しましたが、長妻昭厚労相が「基本的に廃止というような方向性は変わりません」(1月27日の参院予算委員会)と答弁していました。
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