2010年8月2日(月)「しんぶん赤旗」

NHK日曜討論

市田書記局長の発言


 日本共産党の市田忠義書記局長が1日のNHK「日曜討論」でおこなった発言の詳報は次のとおりです。


“ねじれ国会”への対応

前向きにとらえ徹底議論を
国民の意思に背く「大連立」

 参院選の結果によって参院では与党が過半数を割り込み、衆参両院の間にいわゆる“ねじれ”が生じたことが焦点となりました。民主党の枝野幸男幹事長は、参院選での国民の審判を「謙虚に受け止める」として、丁寧な国会運営に努力すると表明。“ねじれ国会”では、何も物事が決まらないのではとの質問に対し、市田氏は次のように答えました。

 市田 選挙による国民の選択によって、衆議院と参議院で与野党の力関係が変わりました。私は、この国民の選択に応えて徹底した議論を国会の場で与野党を超えてやるという点では、“ねじれ”がなにかまずいことのようにとらえるよりも、むしろ前向きにとらえるべきだと思っています。

 たとえば口蹄(こうてい)疫問題や災害対策、国会議員歳費の日割り法案については、与野党を超えて一致できるものは、きちんと議論して成立させていくべきです。

 同時に、議論した結果、(一致せず)結論がでないものについては、廃案にするのは当然です。

 一方で、ちょっと危険だと思っているのは、その“ねじれ”の解消を名目に、消費税増税問題などで事実上の「大連立」のような流れも一部に喧伝(けんでん)されていることです。そういう「連立」的な方向は、やはり国民の意思に反すると思っています。

予算委審議にどう臨む

暮らし応援の経済・財政に
県民の立場で「普天間」解決
比例定数削減は許さない

 2日から始まる予算委員会で菅内閣を追及すべき課題について、市田氏は次のように表明しました。

 市田 課題は山積していますが、大きく分ければ、一つ目は暮らしと経済、財政の問題です。二つ目は(米軍)普天間基地の問題。もう一つは菅首相が記者会見で述べた比例定数削減問題で、これは重要な問題だと思っています。

 1番目の暮らしと経済、財政ですが、いま失業率は5・3%で、中小企業の倒産も相次いでいますし、財政危機も深刻です。しかし、暮らしを犠牲にしては、経済も財政も共倒れすることははっきりしています。やはり国民の暮らしを応援し、雇用、社会保障、中小企業、農林漁業を応援して国民生活を立て直すことをつうじて、経済も財政もきちんとしたものにしていく、こういう太い論戦をやりたいと思います。

 「普天間」の問題では、沖縄の県議会で、「日米合意」を見直して破棄すべきだという決議も出されてるわけで、仲井真さん(弘多沖縄県知事)自身が、“名護市長を説得しようと思えば「銃剣とブルドーザー」を使う以外にないが、それは無理だ”とまで述べています。県民の意思を尊重して、「日米合意」にこだわらずに堂々と(普天間基地撤去を求めてアメリカと)交渉すべきです。

 それから、比例定数(削減)の問題で一言言いたいのですが、(比例選挙は)やはり一番国民の民意を反映する民主的な選挙制度なのですから、もし削減がやられれば、多様な国民の民意が反映されなくなります。

 公明党も社民党も、みんなの党も、比例定数を削ることについては反対だといっています。けさの別の番組では、自民党の石原伸晃(衆院議員)さんも、比例定数の削減は反対だということをいわれたわけで、これは党派を超えています。

 前回の総選挙(結果)でシミュレーションすれば、民主党は42%の得票で68%の議席を取ることになるんです。これはやはり議会制民主主義の根本にかかわる問題なので、大いに議論して、こういうことができないような状況に追い込んでいく議論も大いにやっていきたいと思っています。

 これに対し、民主党の枝野幹事長は、「民主党としては比例定数の削減が一番早い」と述べながら、「(菅首相は)定数の削減と申し上げた」「できるだけ早い時期で合意できるならば、必ずしも比例だけの削減にこだわらない」と語りました。

来年度予算編成

政治・政策なき一律カット
不公平税制・軍事費にメスを

 つづいて、菅政権が2011年度予算の概算要求基準づくりにあたって、各役所ごとに一律1割の予算削減を掲げている問題が議論になりました。市田氏は次のように批判しました。

 市田 一言でいうと、“政治と政策なき一律1割カット”だというのが、いまの方針だと思います。

 社会保障と地方交付税はカットの対象にはしないといいますが、ほかにも、たとえば教育とか中小企業とか、やはり手をつけては(削っては)ならないところがあります。政治として“ここは削るが、ここは削ってはならない”という方向性があってしかるべきだと思います。

 たとえば、東大の学長と懇談しましたが、もし1割カットをやられたら、東大では85億円以上の影響を受けるというんです。国立大学の運営費交付金は1000億円がこれ(1割削減)でカットされることになります。それから、私学の経常費補助は320億円カットされます。東大では、八つの学部・研究科を廃止しなければならないぐらいの金額に匹敵するといいます。やはり、そういうところは削ってはならないと思うんです。

 一方で、ムダは徹底して削る(べきです)。それから特権的な不公平税制、たとえば証券優遇税制や外国税額控除などについては、一切の聖域を設けずにきちんとメスを入れるべきです。

 軍事費についても、いまアメリカでもドイツでもイギリスでも、聖域にせずにメスを入れよういうのが世界の流れです。ところが(日本の対米軍)「思いやり予算」はいまや史上最高でしょう。やはり、そういうところにもきちんとメスを入れる(べきです)。

 ムダとムダでないものをきちんと区別するということが何よりも求められていると思います。





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