2010年8月6日(金)「しんぶん赤旗」

参院予算委 井上議員の質問ハイライト

沖縄県民より米国に忠誠誓うのか


撤去こそ市民の声

首相 「基地の役割に感謝」

普天間基地

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(写真)校庭で遊ぶ子どもたちの頭上を、覆いかぶさるように米軍機が着陸進入する=沖縄県宜野湾市の普天間第二小学校

 沖縄県民の総意よりアメリカに忠誠を誓うのか―。5日の参院予算委員会で普天間基地(沖縄県宜野湾市)の無条件撤去を求めた日本共産党の井上哲士議員。県民の怒りを代弁して菅直人首相に迫りました。

 菅首相は「(前首相の)鳩山さんの辞任で重荷が取り除かれた」(就任直後の会見)と述べ、普天間基地の沖縄県名護市辺野古への「移設」を推し進めようとしています。

 「沖縄県民にとって何も問題は解決されていない」と厳しく批判する井上氏。7月29日に福岡高裁那覇支部で出された普天間基地爆音訴訟判決で、普天間基地を「世界一危険な飛行場」と認め、騒音防止協定が形がい化していると指摘し、国にこれまでの2倍の慰謝料の支払いを命じたことを示しました。

 井上 市民が毎日直面している苦しみをどう認識しているのか。

  1日も早い「移設」によって、危険性を除去しなければならない。

 首相はこう述べ、市民の苦しみを逆手に取り、新基地建設を推進する立場を示しました。これに対し、井上氏は、地元紙の県民世論調査で、辺野古「移設」に県民の84%が反対、普天間基地を抱える宜野湾市民は96・5%が反対し、うち75・6%が普天間基地を「無条件撤去すべき」と答えていることをパネルで紹介。「苦しみを移すことはできない。撤去しかないというのが基地を抱える市民のみなさんの声だ」と述べました。

 岡田克也外相は「市民の思いをしっかりと受け止めなければならない」と述べる一方で、「米軍の『抑止力』は必要だという前提で考えている」と表明しました。

 井上氏は、同世論調査で海兵隊の駐留は必要ないというのが71%であることを示し、「沖縄県民に抑止力論は通用しない。県民の声とみなさん(政府)の前提が違ってきている」と批判しました。

 井上氏は、菅首相が6月23日の戦没者追悼式で、沖縄県民の基地負担について「お礼を表したい」と述べ、県民から憤りの声があがっていることを取り上げました。

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(写真)普天間基地とグアム「移転」で質問する井上哲士議員=5日、参院予算委

 井上 首相が「お礼」を言ったように米議会でも沖縄への「感謝」決議が出た。「感謝」という言葉で、将来も基地を押し付けようとするアメリカと同じだという批判にどう応えるのか。

  日本の安全保障、東アジアの安全保障にとって、沖縄の基地が大きな役割を果たしている。そういう役割を果たす基地を置かせていただいていることに感謝したい。

 沖縄県民の立場ではなく、アメリカの立場からの「感謝」であることを告白しました。

 岡田外相にいたっては、「なぜ米軍の存在が日本にとって重要なのか。もっと説明する必要がある」と発言。

 井上氏は「さんざん説明を受けてきた沖縄県民が、もう海兵隊はいらないと言っている。首相も海兵隊は沖縄に不要だといっていた」と批判しました。

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米が負担増要求も

防衛相 「協議内容申し上げない」

グアム移転

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 井上氏は、普天間基地「移設」問題と一体とされている在沖縄米海兵隊のグアム「移転」の日本側負担(表)について追及しました。

 井上氏は、グアム基地建設は、「沖縄の負担軽減のためではない」と指摘。アメリカの世界戦略の中での基地増強計画の一環で、アメリカ領土の米軍基地建設の費用まで日本・他国が負担することは「全くの前代未聞だ」と厳しく批判しました。しかも、グアムでの新基地建設計画がゆきづまり、日本に負担の増額要求まで出ているとの報道もなされています。

 井上 (日本側負担の)増額の要求が出ている。ゲーツ米国防長官から6月に増額を求める書簡が届けられ、協議に応じるという書簡を送り返したという報道がある。

 北沢俊美防衛相 同盟国にある両国の協議について申し上げない。

 北沢氏はこう述べ、書簡が届いたことを否定しませんでした。

 井上氏は、日本側がこれまでグアム「移転」費用として、米側に送金した額と、米側が支払いに当てた金額を質問。北沢防衛相は、2009年度予算で346億円を計上・送金し、米側が実際に支払いに使ったのは、わずか240万ドル(5日時点のレート換算で約2億円)だったことを明らかにしました。

 井上氏は、「精査して予算計上したはずなのに、送金してもごく一部しか使われていない」と指摘。米上院の歳出委員会で、グアムのインフラ整備の遅れや環境問題に懸念をあげて新たな資金提供は早計だとして、関連予算の75%を削減したことを示し、「日本は来年度予算をどうするのか」と追及しました。

 北沢防衛相は、「米側から公式に金額の変更を要求してきているという事実はない」と繰り返し、グアム移転経費を見直す考えは示しませんでした。

 井上氏は「グアム基地建設の事業内容も、完了期日もアメリカが決めていく、これに従う言いなりのやり方はやめるべきだ。日本の税金を投入することそのものが間違いだ」と、政府の姿勢を批判しました。





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