2010年8月18日(水)「しんぶん赤旗」
口蹄疫 再建へ切々と
国の補償遅れたら再開は無理 市町村に基金つくってほしい
紙議員ら宮崎調査
家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」で宮崎県が「非常事態宣言」を解除してから17日で3週間。全国有数の「畜産王国」再建へ必死の取り組みが続けられている中で、日本共産党の紙智子参院議員(党農林・漁民局長)らは前日に引き続いて、被害が集中した自治体や畜産農家を訪れ懇談、家畜埋却地などを調査しました。(内田達朗)
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「生き抜こう開拓魂!」の横断幕が掲げられた川南町役場。内野宮正英町長は「殺処分した農家などは、国の補償の遅れに不安を感じている。国がはっきりと方針を示してほしい」と述べ、再建へ向けて「市町村に基金をつくり、現場にいる自治体がきちんと仕事ができるようにしてもらいたい」と訴えました。
高鍋、川南両町を管内にもつJA尾鈴では、黒木友徳組合長が応対。国・県が打ち出した、たい肥の処理について、「小規模の農家ではできない。町と連携して応援の人員を派遣している」と説明し、「セリの中断で滞留しているメス牛を国・県が買い上げ、農家にリースする形で家畜を再導入するのが再開に一番いいのではないか」と述べました。
紙氏らは、川南町の家畜共同埋却地も訪れました。墓碑に刻まれた「ありがとう」の文字。花が多数供えられていました。牛691頭を殺処分した、同町の男性(57)は話します。
「牛舎を新築し、27歳の長男が夫婦そろって後継者になってくれた矢先だった。再建までの間に取引先を失うことになる」。それでも男性は「息子はやる気なので、頑張ってバトンタッチしたい」と語りました。
高鍋町では、同町の長町信幸・産業振興課長、JA児湯(こゆ)の担当者、牛や豚を殺処分した農家などがそろって迎えました。
「発見から殺処分まで2週間。その間、目の前で牛がバタバタと倒れ、まさに生き地獄だった」「国の補償金支払いが遅れ、補償金に税金をかけられたら再建できない」
農家からは、切実な声が次々と寄せられました。
長町課長は「自治体として農家をきちんと支えていきたい」と述べ、JA児湯の担当者は「国は農家が安心して再開できるような政策を実施してほしい」と語りました。
口蹄疫は県経済に大きな打撃を与えました。県商工会議所連合会の倉掛正志専務理事は、商工会議所として、地域振興への消費拡大に取り組んでいる「プレミアム商品券」の計画を示し、「農家の皆さんが元気になってもらうのが一番。農業と商工業が連携して、地域を復興していきたい」と述べました。
調査には、党県委員会の津島忠勝委員長、馬場洋光書記長、前屋敷恵美県議、党国会議員団九州沖縄ブロック事務所の田村貴昭所長が同行。川南町では内藤逸子町議、高鍋町では中村末子町議がそれぞれ参加しました。