2010年8月24日(火)「しんぶん赤旗」
厚労省 生活援助外しを提案
軽度の介護サービス後退
2012年度の介護保険制度改定に向けて議論している厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会が23日に開かれ、同省は調理や掃除などの生活援助を「要支援1・2」の軽度者に対する介護保険のサービスから外す案を示しました。
同省は、「介護保険外サービスの利用促進」をうたった菅内閣の「新成長戦略」(6月)や、「保険対象とするサービスを峻別(しゅんべつ)し、より重度の利用者に重点的に給付すべきである」との経済同友会の提言(6月)などを引用。「財源の効率的な活用」のためとして、要支援者に対する生活援助を自治体任せの地域支援事業の中に組み込む案を示しました。
地域支援事業とは、要支援・要介護の状態になる心配のある高齢者を対象にした介護予防事業などで、自治体の裁量に任されています。財源は介護保険会計からまかなわれますが、国庫補助の対象となる上限は各市町村の介護給付費全体の3%以内と政令で定められています。生活援助を地域支援事業に移せば、質・量の大幅な後退は必至です。
委員からは「在宅生活の維持が困難になる。軽度者を支えて重度化を防ぐことが大事」(認知症の人と家族の会の勝田登志子副代表理事)、「(国民から批判を浴び)第2の後期高齢者医療制度になる」(医療法人真正会の斉藤正身理事長)などの反対意見が続出。他方、「財源は限られており、選択と集中が必要」(全国健康保険協会の小林剛理事長)、「中・重度に重点化を図るべきだ」(日本経済団体連合会の久保田政一専務理事代理)などの推進論も出ました。
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