2010年8月27日(金)「しんぶん赤旗」
1日10カ所超で爆弾 62人死亡
イラク治安不安露呈
背景に組閣難航・宗派対立
【カイロ=松本眞志】米軍の主要な戦闘部隊が撤退したイラクで25日、10カ所以上で爆弾攻撃が発生し、マリキ政権と米軍は大きな衝撃を受けています。
この日、爆弾攻撃があったのは、首都バグダッド、北部のキルクーク、モスル、東部のクート、中部のカルバラ、バクバなど。治安部隊、警察署などが標的にされ、62人が死亡、250人以上が負傷しました。
17日にもバグダッドで自爆テロがあり、59人が死亡、100人以上が負傷しています。
一連の爆弾テロは米軍戦闘部隊の撤退を見計らって実施されたものです。5カ月以上に及ぶ政治空白にともなう治安の不安定が改めて浮き彫りとなりました。イラク全土でしかも治安当局の鼻先で大規模爆弾攻撃が実施されたことにマリキ政権と米軍はショックを隠していません。
マリキ首相は、一連の事件に対して国際テロ組織アルカイダとフセイン前政権を支えた旧バース党がいると批判しました。「イラク軍と治安部隊が、歴史上もっとも慎重さを要するこの時期に、最高度の警戒態勢をとり、市民を保護してテロとたたかう措置をとることは必要だ」と述べ、米軍戦闘部隊撤退後の攻撃増大の可能性に備えるよう呼びかけました。
米軍のマレン統合参謀本部議長も「これらのテロ攻撃については非常に懸念しているが、それ以上に問題なのはイラク新政権の組閣の難航だ」と語りました。
イラクでは、組閣をめぐって国内のイスラム教スンニ派とシーア派の対立が表面化しています。また、シーア派内部でも反米のサドル師派とマリキ氏との対立がエスカレートし、これらの対立がテロ増大にも影響を与えているとの指摘もあります。
■関連キーワード