2010年9月2日(木)「しんぶん赤旗」
辺野古新基地 自衛隊との共同使用要請
海兵隊と一体化進む危険
日米両政府が8月31日、公表した沖縄・米海兵隊普天間基地(宜野湾市)の「移設」に関する報告書を作成する過程で、日本側が名護市辺野古の新基地の米軍・自衛隊による共同使用を要請していたことが明らかになりました。
北沢俊美防衛相が同日の記者会見で、ゲーツ米国防長官に対して再三、共同使用を要請するとともに、共同使用を検討する新たな協議機関を立ち上げることで合意したことを明らかにしています。
現時点で米側は基地の管理権や自衛隊が常駐するかどうかをめぐって難色を示していますが、沖縄の米軍基地全体での共同使用は推進する立場です。
すでに沖縄を拠点とする陸上自衛隊第15旅団がキャンプ・ハンセン(沖縄県金武町など)で、米海兵隊との共同訓練を行っています。北沢氏は第15旅団による共同使用について「当然、予想される」と述べています。
また北沢氏は会見で、「(普天間代替)施設を自衛隊と米軍が共同使用することが、日本の安全保障はもとより、地元・自衛隊・米軍の3者の間でより強い絆(きずな)をつくるための一助となる」と述べ、新基地建設に対する地元の反発を緩和するために共同使用の形態を取る考えを示しました。
しかし、戦前の旧日本軍による集団自決の強制などの歴史から、沖縄県では自衛隊の増強に対する抵抗感は根強いものがあります。自衛隊の配備が狙われている宮古・八重山諸島では、住民の抵抗により、何度も断念させられています。
北沢氏が、自衛隊の配備で「強い絆」ができると考えているのなら、住民感情の著しい読み違いです。
一方、北沢氏の思惑とは別に、長島昭久防衛政務官は「沖縄に海兵隊が必要なのは、陸上部隊が手薄だからだ。陸自は一部、海兵隊のような機能を担う必要がある」(7月26日、都内での講演)と述べ、沖縄の自衛隊を“海兵隊”化させる考えを繰り返しています。
普天間基地の「移設」自体が不透明な状況にありますが、イラク派兵を通じて急速に進んだ海兵隊・陸自の一体化がさらに進行する危険があります。