2010年9月27日(月)「しんぶん赤旗」
NHK「日曜討論」
市田書記局長の発言
日本共産党の市田忠義書記局長が26日放送のNHK「日曜討論」でおこなった発言の大要は、次のとおりです。
菅改造内閣
国民の期待に応えず財界・米からは歓迎
司会者から、「有言実行内閣」の看板を掲げる菅改造内閣の支持率が65%に達したことが指摘されると、民主党の岡田克也幹事長は「ありがたい」と発言。一方、野党各党からは、「無言不実行内閣だ」などと批判する声が相次ぎました。
市田氏は次のように述べました。
市田 「有言実行内閣」といわれますが、率直にいって、具体的には何もいっていないし、やるべきことをやっていないと思うんです。
ただ、はっきりしていることは、法人税減税と消費税増税の方向を打ち出していることや、普天間基地の「県内たらい回し」です。自民党政治に戻ったような感じがします。国民の期待に応えた政治になっていないと思います。財界やアメリカから歓迎されるのは当然ではないでしょうか。
失業率は5・2%で、超氷河期といわれた当時を上回る学生の就職難で、まともに勉強もできずに就職活動を強いられている問題、あるいは低く抑えられた雇用者報酬はそのままですし、円高を理由にしたコスト削減、中小企業への(犠牲の)転嫁もある。そういう問題などで答えがありません。
やはり正面から論戦をやって、国民の切実な要求実現のために、がんばりたいと思っています。
尖閣諸島中国漁船衝突事件
日本の領土は明白 国際社会に明らかに
中国漁船衝突事件の問題で、自民党の石原伸晃幹事長は、「『証拠は明白だ』といいながら、ここまで日中関係をおかしくしてから船長を釈放した」と批判。岡田氏は、「政府は関与していない。検察が総合的に判断したということだ」などと述べました。
市田氏は、次のように指摘しました。
市田 尖閣諸島が歴史的にみても、国際法的にみても、日本の領土であることは、はっきりしています。その領海内で外国漁船が不法な操業をしたのを海上保安庁が取り締まるのは当然です。
(船長は)処分保留で釈放されましたが、逮捕の被疑事実と釈放に至る経過について国民に納得いく説明をする責任が日本の政府にはあります。
中国にも、事態をヒートアップ(過熱)させないために冷静な行動をとるべきだということをわれわれは求めたい。
検察は「総合的な判断」で釈放したといいました。その判断のなかに“「日本国民への影響」「日中関係」を考慮した”ことが挙げられている。検察は法と証拠に基づいて厳正な捜査をおこなうべきで、検察がそういう政治判断をするのは、やはり越権(行為)の疑いがあるのではないでしょうか。その辺も含めて、明らかにすべきだと思います。
政府にいいたいのは、あの尖閣諸島の領有権の問題について、国際社会や中国政府に理を尽くしてもっと積極的に明らかにすべきだということです。1895年に(尖閣領有についての)閣議決定してから75年間、世界のどこからも異議は唱えられていませんでした。中国がモノをいいだしたのは、油田が発見された1970年以降です。ですから、(領有権を主張する)中国側(の言い分)には、道理はないと思うんです。このあいだの国連(総会)の場でも、そういうことを理を尽くしていう機会はあったと思うし、やはり国際社会や中国政府に対して堂々とそのことを主張すべきです。
領土を含む国際的な紛争問題は平和的、外交的にきちんと話し合いで解決するべきです。いまそういう外交力を発揮するのが政府の役割ではないでしょうか。
岡田氏は、「十分そのことはわかっている」と応じました。
臨時国会・補正予算
雇用・中小企業・農業を支える
菅政権が、10月1日召集の臨時国会で補正予算を成立させる考えを示しながら、まずは野党の意見を聞いてから案をまとめたいとしていることが議論になりました。自民、公明両党は政府の案を示せと迫り、みんなの党の江田憲司幹事長は、「30兆から40兆円にのぼる金融緩和策を」などと求めました。
市田氏は次のように主張しました。
市田 金額も規模も重要ですが、やはり一番問われているのは中身だと思います。国民の暮らしを守るために、とりわけ雇用、中小企業、農業を支えるということが非常に大事だと思うんです。
失業率が5・2%で、就職(難)の問題もあります。円高の犠牲をコスト削減ということで中小企業に(転嫁し)、労働者の首を切るようなことを許さない。あるいは、低米価で農業は存亡の危機にあります。余剰米を全量買い取るということも政府は決断すべきです。
円高問題で為替投機の規制をきちんとやるためのイニシアチブを発揮すべきですし、日本の円高体質があります。輸出大企業を応援して、コスト削減で中小企業に犠牲を転嫁するようなやり方をあらため、家計・内需主導に切り替え、国民の暮らしを応援し経済を立て直すという方向に向かうべきです。
岡田氏は、補正予算の中身について与野党間の主張に「そんなに差はない」として、国会提出に先立つ与野党協議でまとめたいと主張。石原氏は「裏で談合するわけにはいかない」と発言しました。市田氏は、次のように語りました。
市田 やはり、公の場で政府が出したものを、(国会での)論戦を通じてきちんとただしていくべきです。基本的に内容はあまり変わらないと岡田さんはいいましたが、“方向性は一緒だ”というのは、一部の野党と民主党は一緒でしょうが、消費税の増税などではわれわれと立場は違います。
また、いま大企業は金余り現象で、そこに法人税の減税をしても、日銀の総裁ですら“使い道がなくて、内部留保にいくだけだ”ということを国会で答弁しているぐらいです。これだけ円高のときに、輸出大企業が、また「円高対策」と称して円高が円高を生むようなコスト削減や中小企業いじめをすることをストップさせることなど、補正予算を組むまでもなくやれることはいっぱいあります。派遣法の問題では、製造業や登録型派遣は原則禁止といいながら、(登録型派遣は)“専門業務ならかまわない”とするなど、抜け穴だらけです。こういうのは別に財源はいらないわけですから、直ちに着手することが必要です。
これに対し岡田氏は、「共産党とはかなり違うことは私も認める」と述べるとともに、国会審議を通じての補正予算修正に応じる考えを示しました。
検事証拠ねつ造事件
事実の解明と責任をはっきりさせること
最後に、司会者から、大阪地検の主任検事による証拠ねつ造事件について国会での対応を問われた市田氏は、次のように答えました。
市田 事実の解明と責任をはっきりさせることです。自白偏重、それから可視化、これらを含めた検討が必要だと思います。