2010年10月7日(木)「しんぶん赤旗」
派遣労働者24%減
「派遣切り」すすめ 期間社員に切り替え
昨年度
厚生労働省は6日、派遣会社が提出した2009年度事業報告の集計(確定値)を発表しました。派遣労働者は延べ302万人で、過去最多だった前年度から24・3%減少しました。減少率は調査を開始した1986年度以降で過去最大です。
08年秋のリーマン・ショック後、大企業を中心に大量の「派遣切り」がおこなわれ、加えて、大企業が期間社員など有期契約に切り替えていることも影響しているとみられます。
集計は派遣会社の事業所7万1560カ所の状況をまとめたもの。このなかで、仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ「登録型」の労働者は前年度比26・7%減の延べ206万人。製造業務派遣は同54・5%減の25万人。政令で指定している「専門26業務」が同10%減の90万人などとなっています。
一方、派遣労働者の賃金(8時間換算)は、一般労働者派遣(登録型)が平均1万175円で対前年度比9・6%減、特定労働者派遣(常用型)が平均1万3503円で10・5%減に低下しました。
こうした派遣労働者の減少は、正社員の増加につながってはおらず、大企業を中心に派遣を切って3カ月や6カ月など短期契約の有期契約社員に置き換える動きがすすんでいます。
事務系派遣を「専門業務」と偽った違法派遣が摘発された日産では、反省もなく約800人の派遣労働者を選別して有期契約社員に切りかえています。
空調機器大手のダイキン工業(本社・大阪)では、実態は派遣なのに請負を装った「偽装請負」が指摘されたため、直接雇用にした約200人の労働者を期間満了を理由に解雇し、新たに200人の期間社員を雇い入れています。
派遣を有期契約社員に置き換える企業の動きがすすむなかで、有期契約の労働者が09年には750万人(雇用者総数の13・8%)を超えるまでに急増しています。しかし有期労働契約についてルールを定めた法律がなく、労働者は劣悪な労働条件で働かされている実態が問題になっています。
|