2010年10月13日(水)「しんぶん赤旗」
B型肝炎訴訟和解協議 低額・賠償限定 国が提示
「命の価値に差」原告怒る
札幌地裁
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集団予防接種の注射器使い回しでB型肝炎ウィルスに感染した患者らが、国に損害賠償を求めている北海道B型肝炎訴訟の第5回和解協議が12日、札幌地裁(石橋俊一裁判長)で行われました。
国は肝がん、重症の肝硬変、死亡した患者に2500万円、軽症の肝硬変患者に1000万円、慢性肝炎患者に500万円の和解金額を提示しました。持続性感染者(無症候性キャリアー)については救済の対象から除外する考えを示しました。
原告・弁護団は「不当に低額な賠償金額を提示し、キャリアーには賠償金を支払わず、解決にほど遠い」と怒りの声をあげました。
国は「因果関係の立証に不確実性が伴う」と低額の和解金額を提示しました。C型肝炎の救済では、肝がんと肝硬変は4000万円、慢性肝炎は2000万円であり、大きな隔たりがあります。
全国原告団と弁護団は(1)生命・身体の侵害を原因とする損害賠償請求訴訟の一般的な賠償水準や、薬害肝炎救済法の解決水準を大きく下回り、納得できない(2)根拠のない過大な国民負担の必要性を主張するのは国民を惑わし、原告に責任を転嫁するものだ、とのコメントを出しました。
道原告団の高橋朋己代表は「国はまず、謝罪の態度を示してほしい。これでは全く進展が感じられない」と国を批判。全国原告団の谷口三枝子代表は「命の価値に差をつけるのは納得できない。あくまでも、被害者全体の救済を求めてたたかう」と語りました。
弁護団は、26日の次回の和解協議で国への反論をする予定です。