2010年10月15日(金)「しんぶん赤旗」
安全脅かす日航退職強要
党国会議員団 国に中止求める
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日本航空がパイロットや客室乗務員らに対して退職強要を行っている問題で、日本共産党国会議員団は14日、国会内で馬淵澄夫国土交通相に会い、安全運航を脅かす退職強要を即時中止させ、安全と公共性を最優先にした日本航空再建を申し入れました。穀田恵二、笠井亮、高橋ちづ子の各衆院議員が申し入れ文書を手渡しました。細川律夫厚労相にも別途届けました。
同社は今年度中にグループ社員の3分の1にあたる1万6千人の削減を計画。「整理解雇」をちらつかせ、パイロットや客室乗務員を乗務から外し、退職を迫っています。
申し入れでは、退職強要で極度の不安が職場を襲っており、労働者のモチベーション(意欲)が低下し、事故の予兆をつかむための「ヒヤリハット」報告が減少するなど安全文化が崩壊しつつあると指摘。「安全運航を脅かす、いかなる懸念も取り除くため、あらゆる手だてを講じるべきだ」、「政府が主導する再建で、整理解雇をちらつかせて退職を迫る違法な行為があってはならない」と強調しています。
そのうえで政府に対し(1)退職強要をやめさせ、安全確保体制を点検・確立するよう監督・指導する(2)日航再建にあたって安全や公共性の確保を優先して実施するよう管財人に強く要請する(3)破たんの原因と責任を明確にし、安全と国民の足を守る立場から、空港・航空行政のあり方を見直す―ことを求めています。
穀田氏が、監督・指導を強力に行うよう求めたのに対し、馬淵大臣は「内容は承っています。確かに受け取りました」と答えました。
安全運航を脅かす「退職強要」を即時中止させ、安全と公共性を最優先にした日本航空再建を求める
2010年10月14日 日本共産党国会議員団
日本共産党国会議員団が14日、日航の「退職強要」問題で馬渕澄夫国土交通相、細川律夫厚生労働相に行った申し入れのうち、馬渕国交相への申し入れの全文は次の通りです。
会社更生法による再建をめざす日本航空(以下、日航)において、公共交通機関としての生命線である安全運航を脅かす重大な事態が生じている。日航は、安全運航の担い手であるパイロットや客室乗務員など労働者に対して、「整理解雇」をちらつかせ、乗務からはずし仕事を奪い、強制的に退職に追い込む違法な「退職強要」を行っている。「解雇の対象になりたくないから、余計なことは言わない」など極度の不安が職場を襲っている。その結果、労働者のモチベーションが低下し、重大事故の予兆をつかみ警告する「ヒヤリハット」報告等が減少するなど、日航自らが、事故を多発させた反省の上に築き上げてきた安全文化が崩壊しつつある。
安全運航の確保は、公的資金による日航再建を選択した政府の責務であり、安全運航を脅かす、いかなる懸念も取り除くため、あらゆる手だてを講じるべきである。
日航の更生計画案では、今年度中にグループ社員の3分の1にあたる約1万6000人もの人員削減を計画している。日航は、この計画を遂行するため希望退職募集を実施している。9月からの募集では、1次締め切り時点での応募数が目標に達しなかったとして、9月27日に「整理解雇の人選基準(案)」なるものを示し、10月1日から、年齢の高い労働者を中心にパイロットや客室乗務員を乗務からはずし、個別面談で退職を迫っている。仕事を取り上げ、応じなければ整理解雇をちらつかせるやり方は「強要」以外何物でもない。
さらに、このやり方は、すでに6月時点で構想されていたことが、社内文書でも明らかになっている。「はじめに強制解雇ありき」のやり方である。
政府が主導する再建で、こうした不当、違法な行為があってはならない。断固とした監督・指導を求める。
日航の再建について、わが党は、経営破綻(はたん)の原因と責任を明らかにしたうえで、安全と公共性の確保を基本にすべきことを主張してきた。更生計画案の概要では「安全運航確保」が記載され、「計画の実行にあたり安全への配慮が疎かにならないよう」としている。(1月19日会社更生申請時の「日本航空再生の方向性」概要表に記載がなかった)
ところが、今回の人員削減について「金融機関との約束事で、絶対に達成しなければならない」などと会社幹部が語っている。安全確保より財務・コスト削減を優先する「人員削減ありき」の態度と言わなければならない。そもそも、今年度内に1万6000人もの人員削減をはじめ、今回の希望退職措置の目標人数の根拠も不明確である。安全運航の確保や地域の足としての公共性確保が計画にどれだけ、反映されているのか疑問である。
よって、下記のとおり、要求する。
1、一定の年齢層を狙い撃ちにした「面接」や仕事はずしなど、日本航空による労働者への「退職強要」はやめるよう、監督・指導すること。
安全運航を確保するため、労働者のモチベーションの維持・高揚を図るとともに、「ヒヤリハット」報告など安全確保体制の点検を実施し、確立するよう監督・指導すること。
2、日航再建にあたって、安全や公共性の確保を優先して実施するよう日本航空管財人に強く要請すること。
3、日本航空の破綻の原因と責任を明確にし、安全と国民の足を守る立場から、空港整備や地方空港の運営のあり方など、空港・航空行政のあり方を見直すこと。