2010年10月19日(火)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

「米価暴落 異常と思わないのか」

農家の必死の思い代弁

紙議員が質問


 「いま農村では『米をつくって飯食えない』という声が広がっているんです」。18日の参院決算委員会で、米価暴落に苦しむ米農家の声を代弁する日本共産党の紙智子議員の声が響きました。


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(写真)菅直人首相らに質問する紙智子議員(右)=18日、参院決算委

 紙氏は、すでに170を超える地方議会が、米の買い上げを政府に求める意見書を可決し、JA中央会も要望書を提出していると述べ、その実現を求めました。

 「米がどれだけ安いのか」。水のペットボトルと米をつめたペットボトル2本を掲げた紙氏。500ミリリットルで水が120円なのに対し、生産者米価は117円55銭です。「水よりも米が安い」と指摘すると他党議員も注視します。

 さらに、生産者米価を農家の時給に換算すると325円(2008年産)で、労働者の最低賃金の全国平均・時給730円の半分にもならないと告発。「消費者は米が安い方がありがたいが、生産者が成り立たず、国産米が食べられなくなれば、結局ツケは国民に回ってくる」と迫ります。

  総理、(米価の実態は)異常だと思わないか。

 首相 非常に低い水準にあるという感覚を受けた。

 さらに紙氏は、農協から農家へ払われる米価の「仮渡し金」(概算金)が60キロ当たり7千円台となる県も出てきており、2009年産米の米価も下落の一途で、そのうえ今年の新米はさらに安くなるという異常事態を指摘しました。

  農業者も農協も地方自治体も過剰米の買い上げを一貫して求めている。なぜ買い取りをしないのか。

 首相 備蓄運営上必要のない米の買い上げについて消費者の理解を得ることは難しい。戸別所得補償モデル事業の非参加者が米価上昇の最大のメリットを受ける等の問題があるので慎重な姿勢で臨んでいる。

 消費者のためにもなる米の買い上げについて、答弁書を棒読みしながら難色を示した首相。紙氏は「書いたものを読まないでいただきたい」とぴしゃり。「現場は大変な思いです。(関係者が)どういう思いで繰り返し要請しているか受け止めていただきたい」と訴えました。

買い上げの方が効果大

 紙氏は、価格の下支えに必要な40万トンの買い上げは970億円ですむ一方、60キロあたり米価が1000円下落した場合の戸別所得補償に必要な国の負担は1166億円、2000円下落した場合の負担は2332億円に上ることを明らかにしました。

 鹿野農水相は、「買い上げおよび保管費用で1145億円」と、保管料まで加えた数字を持ち出し、所得補償の負担と大差ないように見せかけようと防戦の答弁。紙氏は「ごまかしていますよね」と批判。「国民の理解」というならば、財政負担からいっても、買い上げのほうが理解を得られるはずだと主張しました。

棚上げ備蓄 前倒しで

 その上で紙氏は、鳩山政権が保管期間(5年)を過ぎたコメを、主食用米以外に転用する「棚上げ備蓄方式」を実施する方針を決めていると指摘。この備蓄を前倒しでやれば、難なく買い上げができるはずだと迫りました。

 鹿野農水相は、07年の買い上げでは「下げ止まり程度の効果で終わった」と弁明します。

  いいかげんなことをいってもらってはこまる。あのときに下げは止まったし、農家の人たちは「助かった」といって喜んだ。今回、備蓄の方式を変えたわけだから、よりいっそう(買い上げが)できるはずだ。

 気迫を込めて追及する紙氏。鹿野農水相は、「たしかに一時的には回復があった」と認めました。しかし、今年度の買い上げ予算は執行ずみで、「棚上げ備蓄方式」は11年度予算から始めるものであって、「それを前倒しでやれといっても、無理なことだ」と答弁。紙氏は食い下がりました。

  農家の人たちが困っているときに、「できません」と最初からいうのか。政治の果たすべき役割として、来年度から決まっているものを「動かせない」ということではなく、「だから前倒ししてやったらいい」と提案しているわけではないか。

 鹿野農水相は、所得補償で価格下落分を補うという答弁を繰り返しただけでした。

 紙氏は、「本当に苦しんで必死の思いで心の底からの叫びをあげている農家のみなさんの立場に立って、この問題を取り扱っていただきたい」と要求。価格保障と所得補償の両方による農業の保護をあらためて主張しました。

グラフ




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