2010年10月23日(土)「しんぶん赤旗」
非正規雇用
好景気は急増、不況では急減
大企業ほど“使い捨て”
「労働力調査」で判明
大企業ほど非正規雇用を「使い捨て」にしている実態が、総務省「労働力調査」詳細集計でわかりました。
「労働力調査」詳細集計では、従業員規模別・雇用形態別に雇用者数を知ることができます。非正規雇用である、「パート・アルバイト」「労働者派遣事業所の派遣社員」「契約社員・嘱託」「その他」の合計について、従業員規模別の推移を調べました。
統計で比較可能な2002年1〜3月期を1としたとき、従業員数30〜99人の小規模な事業所の場合、非正規雇用は07年4〜6月期にピークを迎え1・24倍となりました。その後、わずかずつ減少し、10年4〜6月期には1・18倍でした。
一方、従業員数500人以上の大企業では、非正規雇用がこの間、急激に増加し、08年10〜12月期には1・80倍にまで増加しました。しかし、同年9月のリーマン・ショックを受け、生産が落ち込むと非正規雇用も急減。10年4〜6月期には1・59倍と0・21ポイントも落ち込みました。
この間、政府は家電エコポイント制度やエコカー減税・補助金などの経済対策を打ち出し、生産高をある程度下支えしましたが、大企業は非正規雇用を減らし続けています。
景気が好調な時には低賃金の非正規雇用を増やして対応し、生産が落ち込めばまっ先に非正規雇用のクビを切る―。非正規雇用を“調整弁”として使う大企業の身勝手さが示されています。
雇用・生活に責任を
労働総研事務局次長 藤田宏さん
リーマン・ショック後の経済危機のもとで、大企業は非正規雇用を削減する一方で、内部留保をため込み続けてきました。雇用が安定し、賃金が増えないと日本経済は回復しません。しかし日本では賃金も減り、雇用も減っているのが実態です。非正規雇用が削減されたもとで、正規社員への負担がより深刻になっています。
日本の経済危機が他の先進諸国と比べて深刻になっているのは大企業が労働者の雇用と生活に責任を持とうとしないからです。こうした大企業の横暴を改めさせることが大切になっています。
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