2010年11月1日(月)「しんぶん赤旗」
列島だより
長野県内 3党員首長が地方自治語る
田中勝己・木曽町長、菊池幸彦・南牧村長、茂木祐司・御代田町長
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長野県には、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法)本来の自治体づくりに奮闘する日本共産党員首長が3人います。木曽町の田中勝己町長、御代田(みよた)町の茂木祐司町長、南牧(みなみまき)村の菊池幸彦村長です。その3人が「赤旗信州秋まつり」(17日、松本市)で「輝く地方自治」を熱く語りました。(大星史路)
200円バスでどこまでも/田中勝己・木曽町長
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木曽町の町長の田中です。合併前の福島町長時代を含め4期目を担当しています。
木曽町の交通システムは、全国で有名になりました。200円で町中、すみずみまで行けるバスのシステムをつくったわけです。これをつくったのも、町づくり条例が一番根拠になっています。うちの町づくり条例というのは、全国に例のない、いくつかのシステムをつくっています。斬新なシステムです。
木曽町では、議会での議員のいろんな発言を、提案した議員とともに具体化するというシステムをこの4年間にやってきました。おそらく全国に例のない新しいやり方だろうと思います。新たな挑戦としてやってきたことであります。
大変な過疎の町です。高齢化率34%と、非常に深刻な状況があります。若い人たちが学校を卒業しても、故郷を離れて都会に流れていくという傾向があり、そこを何とか食い止めて、若者が残れる町をつくりたいと、それが一番大きな悩みごとです。いま一生懸命頑張っています。
このままでいくと、日本はだんだん衰退していきますが、未来があるとすれば、それは長野県のような農山村が輝いて元気になっていく、それ以外に新しい道は開けないと思います。6年前、木曽学研究所をつくりました。来年は、地域資源研究所をつくりたいと思っています。いろんな人たちの応援もいただくことになっています。
さすが共産党の町長だったなといわれるような足跡を残したいものだと思います。
木曽町データ
田中木曽町政2期目(福島町政2期)。「まちづくり条例」の特徴―(1)地域自治組織を設ける(2)計画段階から情報公開(3)政策諮問会議の設置による住民の提案権強化など。本年度から、高校卒業まで医療費無料化、子どものいる世帯に家賃減免する「定住促進住宅」建設。
安心の食へ農業後継者を/菊池幸彦・南牧村長
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3年間、村長をして痛切に感じたことは、村民全体の健康こそ宝ということです。
今年は子宮頸(けい)がん予防ワクチン接種を中学生全員に全額補助しました。16歳未満の医療費の無料化、これも続けております。
残された任期中、公約を全部果たし、村民の健康、命を大切にする村政に全力で取り組みたいと思います。
南牧村は、人口と牛の数が同じ。3300頭の牛を抱えている酪農と高原野菜、レタス、白菜、キャベツを中心にした村です。
村ではことし大きな出来事が二つありました。一つは、牛の病気である口蹄疫問題。これがもし村にくれば、村の酪農家は全滅してしまいます。そこで村では対策本部をたて、全酪農家の地図をつくり、周辺10メートルを消石灰で消毒するという万全の態勢で臨みました。
もう一つは、異常気象によって野菜が大打撃を受けたことです。生産者は大変な状況です。高原野菜は涼しい環境の中で育つ作物ですから、この暑さと、異常降雨で大変な打撃を受けました。こういう中で、安全安心の食料生産に一生懸命頑張っています。
村の農業支援の一番は農業後継者対策です。昨年、新規就農者は13人、今年は8人が新たに農業に就きました。この後継者が希望の持てる農業をするための支援を行っています。農家に花嫁さんを迎えようと、レタスクラブという男性と女性の出会いの場をつくり、昨年は2組がゴールインしました。私も結婚式に呼ばれています。
農業立村として農業に輝きを持たせるような村づくりをめざして頑張っております。
南牧村データ
菊池村政1期目。本年度から、中学生を対象にした子宮頸がん予防ワクチン接種費用を補助、女性特有のがん検診の公費全額助成。野生シカ対策として全村に被害防止柵を設置。16歳未満の子どもや18歳未満の一人親家庭の親子の医療費助成を継続。
「同和」やめ健康対策に/茂木祐司・御代田町長
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共産党が首長になれば国や県からの補助金が減るのではないかという話がありますが、御代田町では、国や県の補助金・交付金を活用する努力を粘り強く積み重ねてきた結果、昨年度では、その前の年と比べて国県からの交付金がだいたい5億円ほど増えました。国や県からの交付金を使って町民益にかなう事業をすすめています。
町がいま一番とりくんでいる課題が健康な町づくり推進プロジェクトです。
健康な町づくりを始めることができたのは、町の大きな問題だった同和事業の廃止です。これにより、4000万円の新たな予算がうまれました。同和対策にかかわっていた職員を減らし、保健師と管理栄養士の正規職員を2倍に増やしました。たとえば、県内のどこもやっていない5歳児の健診なども始めました。
町では、スキーのストックのようなポールを使った健康ウオーキングを推進しています。ポールの購入に2000円の補助を出しています。この1年間で約300人がポールを購入し、毎日歩いています。
町長として残された1期目の期間は4カ月です。次の選挙で2期目を必ず勝つということが私に課せられた一番大きな役割だと思っています。
住んでみたくなる魅力ある町、御代田町に住んでみたいということを基本にして事業をすすめています。
一つ目に豊かな自然環境の町、二つ目に子育てしやすい町、三つ目に健康で安心して暮らせる町―この3本柱でさらに住みやすい町をつくっていくことを、2期目に向けた大きな目標にして取り組んでいきたいと思います。
御代田町データ
茂木町政1期目。本年度から、中学3年までの医療費無料化、在宅介護慰労金を年額6万円から9万円に増額、高齢者・障害者にタクシー利用券(1500円分)の900円補助。高校生を持つ低所得世帯に3万円支援。5人以上集まれば「出前町長室」で住民の要望を直接聞く。
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