2010年11月2日(火)「しんぶん赤旗」
論戦ハイライト
県民努力で基地依存縮小 経済発展へ基地「たらい回し」やめよ
担当相「基地はまちづくりの制約」
赤嶺議員 菅首相に迫る
|
1日の衆院予算委員会で日本共産党の赤嶺政賢議員は、沖縄県・県議会の統計を使って米軍基地に依存しない沖縄経済の実態を示し、「米軍基地撤去が沖縄経済の展望を切り開く」と主張しました。
米軍基地は沖縄県全体の10・2%、本島の18・4%を占め、広大な訓練空域・海域によって漁業者が自由に操業もできません。
赤嶺議員 戦後65年たってもなお広大な米軍基地が存在していることをどう考えるか。
菅直人首相 きわめて大きな負担を負わせている、なんとか軽減しないといけない。
財政負担が過重
赤嶺氏は、「沖縄の米軍基地は国際法にも反して、住民の土地を強制的に奪って建設したものだ」と指摘。嘉手納町では82・5%、金武町では59・3%、普天間基地のある宜野湾市では33・2%の土地が、米軍基地で占められ、まちづくりの支障になってきたと告発しました。
宜野湾市は、消防署が1カ所あれば全域をカバーできますが、基地が市の中心にあるため3カ所に配置。上下水道も基地をう回するために財政負担が過重となっています。
赤嶺 まちづくりへの影響についてどう認識しているのか。
馬淵澄夫沖縄北方担当相 まちづくりの大きな制約要因となっている。だから社会資本整備にとりくまないといけない。
沖縄の経済について赤嶺氏は、米軍の余剰物資の配給から始まり、土地強奪で生活手段を奪われたもとで、米軍基地からの物資に頼らざるをえなかったとし、「基地依存から脱却することは県民の悲願だった」と述べました。米軍に優良地を奪われながらも、県民の努力によって基地依存が5%台までに低下し、1972年の15・5%から3分の1に減りました。
赤嶺 米軍基地はもう依存の対象ではなく、経済発展の障害となっている。
首相 基地依存が小さくなり、自立した経済が可能になりつつあることを認識できた。
すべての米軍基地が返還された場合の経済効果について、沖縄県議会の調査結果を示した赤嶺氏。基地の経済効果4206億6100万円に対し全基地返還の場合は9155億5000万円と2・2倍になり、雇用は2・7倍です。
赤嶺 基地の返還が(経済発展を)切り開くのは間違いない。
馬淵担当相 おっしゃる通り。基地経済をこれから変え、自立型経済も振興の中心にしないといけない。
撤去以外道ない
赤嶺氏は、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)や米軍再編合意に基づく沖縄の米軍基地「整理統合」が一向に進んでいない現状を批判。新たなヘリパッド建設や、名護市辺野古への新基地建設を条件とした普天間基地返還を例にあげ追及しました。
赤嶺 負担の軽減には必ず移設の条件が付いている。普天間「移設」が14年間進まないのは基地の県内「たらい回し」だからだ。
北沢俊美防衛相 「たらい回し」でなく、より危険性が少ないところへ移転し負担を減らす努力をしている。
赤嶺 (北部訓練場返還では)ヘリパッドが15カ所からさらに6カ所増える。こんなことが負担軽減になると誰が思うか。
赤嶺氏は、「デメリットを総合的に勘案すると普天間基地問題を機に基地を整理縮小すべき」との県建設産業団体連合会の前会長の発言を示し、「経済界を含め『県内移設断念』が沖縄の一致した世論だ。普天間基地の無条件閉鎖・撤去以外に道がない」と主張しました。