2010年11月10日(水)「しんぶん赤旗」
生活保護支給「3〜5年」に?
「有期限化」やめて 緊急集会
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生活保護問題対策全国会議(代表幹事・尾藤廣喜弁護士)は9日、衆院第2議員会館で、生活保護の「有期限化」と「医療扶助の一部自己負担化」に反対する緊急集会を開き、120人余りが参加しました。日本共産党の田村智子参院議員や、民主、社民、自民の国会議員も参加し、あいさつしました。
「有期限化」などは指定都市市長会が10月20日に「生活保護制度の抜本的改革の提案」として導入を打ち出しました。「有期限化」とは、急増している失業による稼働年齢層(16〜65歳)の生活保護受給者を、3〜5年の期限で打ち切る制度。「医療扶助の一部自己負担化」とは、生活保護では無償の医療費を一部自己負担にする制度。
集会では支援者や研究者、生活保護受給者らが発言。
反貧困ネットワークの湯浅誠さんは「日本の貧困層に占める有業者の割合の高さが諸外国に比べて目立つ。働ける人が怠けているというのは偏見だ。保護が増えているから、絞り込めというのは本末転倒」と批判しました。
静岡大学教授の布川日佐史さんは、日本の最低生活費未満の世帯が597万世帯あるのに、生活保護受給世帯が139万世帯しかないなどのデータを紹介。「貧困の拡大に、生活保護の増加がまだ追い付いていない。生活保護をもっと利用しやすくし、『隠れ貧困』をなくすことこそ必要だ」と強調しました。
生活保護を受給している若い男性は、指定都市市長会の提案が「集中的かつ強力な就労支援」で期限内に就労させるとしていることについて、「保護受給者の現実の就職活動は残酷。面接では決まって生活保護への偏見から『(若いのに保護を受けているのは)甘えている』などの暴言を浴びせられる。こうした人格攻撃で、ノイローゼになった」と訴えました。
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