2010年11月11日(木)「しんぶん赤旗」
イラク戦争二つの間違い
ブッシュ前大統領が回顧録
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【ワシントン=西村央】ブッシュ前大統領の回顧録『決断の瞬間』が9日発刊されました。同氏は、在任中に開始した二つの戦争について、イラクでは「二つの間違いをした」、アフガニスタンでは「国づくりの準備ができていなかった」と述懐。9・11米同時テロ容疑者に対し、人権団体から拷問にあたると非難されている「水責め」などの「取り調べ強化」も許可していたことも明らかにしました。
同氏は、イラク戦争が早期に終結しなかった主要原因は、「サダム・フセイン体制を崩壊させた後に、(米軍)駐留規模を縮小したこと」だとし、軍事強硬策にこだわる姿勢を示しました。一方で、「イラクが大量破壊兵器を所有しているとの情報の誤り」をあげ、戦争に大義がなかったことを認めました。
アフガンでは、「タリバンは依然として活力を保ち、アフガン政府は国土全体を統治するのに苦闘している」と、米軍の侵攻から9年近くたった今も事態に大きな変化がないと指摘。そのうえで「米国政府には(アフガンの)国家づくりについての準備がなかった」と非を認めています。
ブッシュ氏は、9・11テロ容疑者の尋問で、「水責め」を含む「尋問手法の強化」を、当時の中央情報局(CIA)長官が許可を求めてきた際には、「まったく、その通りだ」と、承認したと記述。9・11事件以後に拘束したテロ容疑者数千人のうち約100人をCIAの尋問に送ったことにもふれ、「その3分の1には強化した(尋問)手法を使い、水責めも3例あった」と書いています。
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