2010年11月14日(日)「しんぶん赤旗」
菅首相「TPP協議開始」
APEC首脳会議
21カ国・地域が経済協力について話し合うアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が13日、横浜市の国際会議場で始まりました。議長を務める菅直人首相は同日午前、首脳会議開幕前に開かれた経済人との会合、APEC最高経営責任者(CEO)サミットに出席し、例外なしの関税撤廃を前提とする環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について「関係国との協議を開始する」と表明しました。
菅首相は、各国が自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を積極的に推進する中で、「率直にいってわが国はこの潮流にやや立ち遅れた」と発言。「日本は今また再び大きく国を開いていくことを決断した」として、9日に閣議決定した「包括的経済連携に関する基本方針」を説明し、「TPPについては、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する」と述べました。
CEOサミットでは、米国のオバマ大統領も演説し、成長を続けるアジア太平洋地域の市場の重要性を強調。「この地域で米国のシェアが低下している状況を変えたい。そのために、アジアでの貿易と開かれた市場を促進するTPPを追求する」と語りました。中国の胡錦濤国家主席も演説しました。
経済統合が議題となる14日の討議では、菅首相は改めてTPP参加を表明するとみられます。同日開かれるTPP加盟国と交渉参加国計9カ国の首脳会議にも菅首相は出席を検討しています。
日本農業に壊滅的打撃を与え、日本の食料自給率を13%に下げるTPPには多くの国民が反対しており、それを押し切っての参加表明に怒りが高まっています。14日には現地横浜市内で「国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会」などが「APEC対抗市民行動」の集会を開き、「自由化」の名による国民生活破壊に抗議します。