2010年11月14日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 農家1戸当たりの耕地面積はオーストラリアが3千ヘクタール。日本では大規模と呼ばれる農家でさえ30ヘクタールです。100倍の開きです。世界有数の農業大国に太刀打ちできるような「強い農業」をめざせ▼TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加へ突っ走る菅内閣はこう言って農家にはっぱをかけています。「農業の構造改革」だというものの中身はありません。肝心の農水省が「土地利用作物は競争できないよ」(副大臣)と切って捨てました▼関税ゼロになって安い牛肉が食べられるならその方がいいじゃないかと考えるかもしれません。確かに安い方が家計にはありがたい。でも国内の農林水産業が見る影もなくなったらどんな国になるでしょう▼もう一つの農業大国アメリカのブッシュ前大統領がかつて言いました。「食料自給できない国を想像できるか、それは国際的圧力と危険にさらされている国だ」(01年7月)▼「農業構造を変えないといけないというが、産業構造も変えないといけない。…どういう産業づくりをするのか、国づくりをするのか考えないといけない」。寺山憲二・北海道音更町長が本紙(12日付)に語ったことも大事な視点です。農林水産業を犠牲にして輸出大企業が栄えても、外需依存の日本経済のゆがみはひどくなるばかりです▼労働者の賃金をおさえて国内消費を冷え込ませてきたのはこの輸出大企業です。その言うことを聞く政治は「開国」を看板にしています。農業と関連産業を痛めつける政治にストップです。





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