2010年11月14日(日)「しんぶん赤旗」

自衛隊医官 アフガン戦地派遣

政府 国会審議抜き強行狙う

民間団体から危ぐの声


 アフガニスタンへの自衛隊医官、看護官派遣―。「人的貢献」策として、10人程度が年内にもアフガン現地に派遣される方向です。13日の日米首脳会談で菅直人首相はオバマ大統領に方針を伝えました。

 医官、看護官とはいえ自衛官です。派遣はISAF(国際治安支援部隊)などによるアフガン国軍の「教育訓練」への参加・協力を目的にしており、軍事活動です。北沢俊美防衛相は11日の衆院安全保障委員会で「当然、ISAFのプログラムに入る」と明言しています。

 民主党安全保障調査会の関係者は、「これだけの数の医官を出せば、必ず後方支援、護衛という問題になってくる」と指摘し、今後の戦闘部隊の派遣など、軍事介入で深入りしていく危険も指摘します。

 “ねじれ”国会のもと法案成立が難しい状況の中で、政府はこの派遣を防衛省設置法にもとづく「教育訓練」として実施する方針です。国会審議抜きで、自衛隊の戦地派遣を強行しようとするもので重大です。

 背景には、米軍普天間基地の「移設」問題や、インド洋での給油中止で「低下」した日米の「信頼関係」修復を求めるアメリカの圧力と、これにこたえることで政権の信任を厚くしたいという菅政権の思惑があります。

 今年、アフガンにおける外国軍兵士の死者数は、すでに開戦以来最悪だった昨年の521人を大きく超えており、治安状況は最悪となっています。軍事活動の拡大によって治安の悪化を食い止めることは不可能です。

 日本国際ボランティアセンターの長谷部貴俊・アフガニスタン現地代表は、「外国軍への反発から、タリバンサポーターが増えている状況で、掃討作戦や爆撃を強めれば、反発が広がって治安はさらに悪化するし、自衛隊はターゲットにされる。他方、米軍の支援を受けない人道支援活動への無差別的な攻撃は減ってきており、反政府勢力もそこは区別している。軍事介入をやめ、人道支援を強めることこそ必要だ」と述べます。JICA(国際協力機構)など現地で活動する他の国際NGOからも、人道支援活動全体に障害をもたらすと危ぐの声があがっています。(中祖寅一)





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