2010年11月16日(火)「しんぶん赤旗」

県民総意の先頭にたつイハさんを

沖縄総決起大会 志位委員長の訴え


 日本共産党の志位和夫委員長が14日、那覇市で開かれた沖縄・宜野湾のたたかいの勝利をめざす総決起大会で行った訴えは次の通りです。


写真

(写真)訴える志位和夫委員長=14日、那覇市

 みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます。(大きな拍手)

 この沖縄県のたたかいは、日本国民が、そして日米両政府がかたずをのんで注目する歴史的なたたかいとなっています。

 沖縄でのこの間の選挙戦の流れを見ますと、1月の名護市長選挙での稲嶺進市長の勝利、9月の名護市議選での新基地建設反対派の圧勝という、勝利の流れが積み重なりましたけれども、今度のたたかいでイハ洋一さん、宜野湾市長選挙で安里タケシさんの勝利をかちとれば、名護市と宜野湾市と沖縄県のスクラムががっちり組みあがることになります(拍手)。毛利元就(もとなり)の「三本の矢」ではありませんが(笑い)、日米両政府がどんな圧力をかけてきても、屈せずはね返す力になることになるでしょう(拍手)。私たち日本共産党は「県民の会」の一員として、勝利のために全力をあげる決意を、まず申し上げるものです。(指笛、大きな拍手)

普天間問題――最大の争点で県民総意の先頭に立てるのはどの人か

 このたたかいの最大の争点は、普天間問題をどうするかということにあります。

 沖縄の基地問題の対決の構図というのは、日米両政府と沖縄県民の対決というのが、大きな構図です。県民のみなさんの総意はすでにはっきりしています。「県内移設反対」「普天間基地の閉鎖・撤去」であります。

 問われるのは、この県民の総意の先頭に立てる人は誰かということにあります。(「その通り」の声、拍手)

民主党政権――「負担軽減」というが基地の重圧のいっそうの強化を押しつける

 民主党政権は、公約を裏切って、5月に「辺野古移設」の「日米合意」を結びました。昨日、日米首脳会談がおこなわれましたが、菅首相は、“沖縄の知事選後に日米合意推進の最大限の努力をはかる”と、米側に約束しました。民主党政権は、沖縄県民の「負担の軽減」をはかることで、「辺野古移設」への理解を得たいと言ってきました。しかし、現実に起こっていることは何でしょうか。基地の重圧のいっそうの強化ではないでしょうか。

 ダイバート(目的地変更)といって、嘉手納基地の滑走路の全面改修に伴って、嘉手納基地の戦闘機が普天間基地を傍若無人に使うということが始まりました。10月から18カ月間もやるそうです。普天間周辺では、この1カ月で米軍戦闘機によるとみられる100デシベルを超える騒音が41回も観測されました。「子どもが寝つかずに飛びついてくる。私も涙が止まらない」、「昼はヘリやプロペラ機、夜はジェット機。これでは戦場だ」などの訴えが寄せられています。イハさんを勝たせて、こんな横暴勝手はただちにやめさせなくてはなりません。(大きな拍手)

 オスプレイという垂直離着陸機を配備する計画が明らかになりました。この飛行機は、危なくてよく落ちることで有名なのです。開発段階で4回の墜落事故を起こし、すでに乗員30人が死亡しています。「未亡人製造機」といわれる飛行機です。日本政府はずっとオスプレイの配備計画をひた隠しにしてきましたけれども、アメリカ政府が計画書のなかで、「2012年秋以降、沖縄に24機を配備する」とはっきり書きました。

 ダイバートにしても、オスプレイにしても、こんなにひどい話はありません。そこで、私たちは国会で、「こんな横暴勝手はただちにやめさせなさい」と政府に迫りましたけれども、政府は「アメリカに抗議する」とも「異議を唱える」とも一言も言えないのです。このどこが「負担軽減」でしょうか。基地の重圧のいっそうの強化そのものではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 沖縄県民のみなさんに耐えがたい騒音、墜落の危険、死の恐怖を押しつけながら、「辺野古移設を理解してくれ」――こんな横暴勝手な言い分は通らないということを私は言いたいと思います。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 みなさん。このたたかいを、イハ洋一さんの勝利で、耐えがたい基地の重圧を取り除き、「基地のない平和な沖縄」への道を開く歴史的転換点にしていこうではありませんか。(「その通り」の声、大きな拍手)

イハさん――県民の総意をつくる先頭に立ち、その実現の先頭に立つ

 「県内移設反対」、「普天間基地の閉鎖・撤去」を求める県民の総意は、いよいよ揺るがないものとなっています。1月の名護市長選挙の勝利、2月の県議会意見書の全会一致での採択、4月の9万人が集った県民大会、9月の名護市議選挙の勝利など、日米両政府が横暴勝手をやればやるほど、県民のみなさんの総意はますます確固としたものになっているのではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 私が訴えたいのは、この県民の総意というのは、ひとりでにつくられたものではないということです。もちろん県民のみなさんのたたかいのなかでこの総意はつくられていきました。同時に、イハ洋一さんの一貫した勇気ある行動なしには、この県民の総意はつくれなかったと、私は思います。(大きな拍手)

 イハ洋一さんは、普天間基地という恐るべき痛みと苦しみをもたらす基地を抱えている、その(宜野湾市の)市長さんであります。そういう市長さんが「県内移設反対」を主張するのは、ほんとうに大変な勇気を要するものだったと思います。しかし、ここでイハさんがブレずに頑張り抜いたことが、県民のみなさんが「県内移設反対」でまとまる決定的な支えになったのではないのでしょうか。(指笛、大きな拍手)

 かりに宜野湾市長が「県内移設をすすめてくれ」と言い、名護市長が「反対だ」と言ったら、県民は分裂してしまいます。イハさんの頑張りなくして、県民の総意、県民の団結をつくることはできなかったことは明らかです。

 そしてイハさんは、宜野湾市長として、普天間基地の実態を徹底的に調査・告発し、その危険性を内外に訴え続けました。アメリカの規則では利用禁止になっている「クリアゾーン」という区域のなかに、3600人もの住民のみなさんが生活をされている。これも、イハさんが問題にして、はじめて内外に明らかになったものです。福岡高裁の確定判決で普天間基地を「世界一危険」と認めさせたのも、こうした努力の積み重ねの結果でした。そしてイハさん自身が、米政府や米議会に直接訴えるため、3度にわたる訪米要請行動を繰り返してきました。

 イハ洋一さんこそ、「県内移設反対」「普天間基地の閉鎖・撤去」という県民の総意をつくりあげる先頭に立ってきた政治家であり、その実現の先頭に立てる政治家だと、私は思います。(「その通り」の声、指笛、大きな拍手)

現知事――「県内移設反対」とは「言わない」と明言

 では現知事はどうでしょう。現知事は、県民の声に押されて「県外移設を求める」とまでは言いました。しかし、「県内移設反対」を表明することは、かたくなに拒否し続けてきたではありませんか。10月28日、政策発表の記者会見で記者団から「県内移設は今後も一切認めないという立場か」と問われて、現知事はこう答えました。「ゼロまたは1とかイエスとかノーの世界ではない。そういう表現(=『県内移設反対』)は使わない」。こう言ったのです。「イエスとかノーの世界ではない」といいますが、「県内移設」にたいしては、反対か、賛成かしかない。真ん中というのはないのです。それを、こういう答え方をしたのです。この記者会見で明らかになったように、現知事は、「県内移設反対」を表明していないというだけではありません。自分は「県内移設反対」とは「言わない」ということを、政策発表記者会見という大事な場で明言したのです。

 なぜこういう態度をとるのか。知事に再選された場合に、「県外移設」を言うだけは言う。しかし、ダメなときには「辺野古移設」で政府と交渉をおこなう余地を残しておきたいという考えだからです。それ以外には考えられないではないですか。

 ですから、政府もあうんの呼吸で現知事の再選に期待をかけています。北沢防衛大臣は、公然と「仲井真さんに勝ってほしい」と言っています。普天間問題にかかわる政務三役の一人は、「イハ氏が勝てば、菅政権に大打撃になることは確実だ。仲井真氏を側面支援しないといけない」と言いました。はっきりと政府もわかっているわけです。

 みなさん。こんな人に知事をまかせたら、「県内移設」が一気に進む危険があります。こんな人に、県民の命と暮らしをあずける大事な知事の仕事をまかせるわけには、絶対にいきません。(指笛、大きな拍手)

基地の「県内たらいまわし」路線に歴史的決別を告げるたたかいに

 たたかいの争点は極めて鮮明です。「県内移設反対」を堂々と主張するイハ洋一さんか、「県内移設反対」を「言わない」という現知事か。ここに争点があり、これは絶対に負けることができないたたかいだということを訴えたいのであります。(歓声、大きな拍手)

 琉球新報は社説で「基地に揺れた15年の総決算」と書きました。15年前、あの少女暴行事件が起こりました。島ぐるみの怒りが広がりました。その怒りをそらすために14年前、日米両政府は、SACO合意というのを結びました。この合意は、「普天間基地は返しましょう、その代わりに海上に新基地をつくります」という基地の「県内たらいまわし」の合意でした。しかし県民のみなさんは、「県内たらいまわしではだめだ」「撤去こそ必要だ」と頑張り続けた。名護市・辺野古のみなさんは頑張って、あの美(ちゅ)ら海に杭(くい)1本打たせませんでした。そしてとうとう、「県内たらいまわし」路線が破たんしたのが、この15年ではないでしょうか。(拍手)

 ぜひともこのたたかいを「総決算のたたかい」にする必要があります。みなさん。イハ洋一さんの勝利で、破たんした道――「県内たらいまわし」路線に歴史的決別を告げるたたかいにしていこうではありませんか。(「その通り」の声、指笛、大きな拍手)

尖閣問題――軍事力でなく外交力で解決することこそ「沖縄の心」

 尖閣問題がいま、大きな焦点になっています。現知事はこの問題をとらえて自衛隊を先島諸島に配備するんだと、物騒なことを言い出しています。しかし、こういう問題の解決で一番大切なのは、道理の力であり、外交の力ではないでしょうか。(拍手)

 私たちは先日、この問題でのつっこんだ見解を発表しました。中国側の言い分は、尖閣諸島は「日本が日清戦争に乗じてかすめとった」というものですが、それに対して私たちは、日清戦争の講和を取り決めた下関条約とそれに関連する全史料を分析して、あの日清戦争で日本が不当に侵略して奪ったのは台湾と澎湖(ほうこ)列島であり、尖閣諸島はこれとはまったく別に日本が平和的に領有した正当な領土であるということを明らかにしました。そういうことをしっかりと中国や世界に対して外交力をもって発信していく政治こそ大切ではないでしょうか。(大きな拍手)

 現知事は、自衛隊の先島配備を主張していますが、外交力ではなく、軍事力に訴えるというのは一番悪いやり方ではないでしょうか。イハさんは「(自衛隊を)配備すべきでない。現場でことを構えるべきではない。県民にとって豊富な漁場でそれが損なわれるやり方をすべきではない」ときっぱりとのべています。石垣市の大浜前市長は、「国境では憲法9条の精神が必要だ」と言いました。

 みなさん、イハさんや大浜さんの言葉にこそ、「戦争と戦争にかかわるいっさいのものを拒否する」という「命(ぬち)どぅ宝」の「沖縄の心」が示されているのではないでしょうか。(大きな拍手)

 イハさんのお母さんは、従軍看護婦として沖縄戦に駆り出され、最後は手りゅう弾で自決を試みたと聞きました。一命を取り留めたけれども片目を失い、戦争で家族9人のうち7人を失ったとうかがいました。私は、イハさんの揺るがぬ「沖縄の心」は、ご自身の体験に裏付けられた、筋金入りの不屈のものであり、この方こそ、沖縄県知事にふさわしいと訴えたいのであります。(大きな拍手)

沖縄経済――基地撤去、沖縄の特性・優位性生かすことこそ発展の道

米軍基地をなくしてこそ、沖縄の豊かな経済発展の道が開ける

 沖縄経済をどうするかということも大事な争点です。

 沖縄県の失業率は8%と、全国でもとりわけ深刻です。なぜ特別に深刻か。その最大の元凶が米軍基地にあることは明瞭(めいりょう)です。米軍基地こそ経済発展の最大の障害物であり、基地をなくしてこそ経済発展の道が開ける――これは今では立場を超えて圧倒的多数の声になっていると思います。

 朝日新聞11月8日付が「もう基地じゃない」と題する2ページにわたる大型の沖縄問題の記事を書きました。その記事の中で、沖縄県の元建設業協会会長の呉屋守将さんがこう言っておられます。「基地からもらう金はたいしたことはない。むしろ基地あるがゆえの振興策がかえって、沖縄の自立を妨げてきた面もある。基地はもういらないというメッセージをどう伝えるか。それが一つの争点ではないか」

 先日、わが党の赤嶺議員が国会で質問しました。「基地こそ一番のまちづくりの障害ではないか」「沖縄経済の発展の障害ではないか」とただしたところ、担当大臣の馬淵大臣がこう答弁しました。「米軍基地がまちづくりに対しても大きな制約要因となっている」「私もおっしゃるとおりだと思います」。政府も「大きな制約」だと認めざるをえなくなっているのです。

 そして今年8月に、県議会事務局がまとめた報告書を、私は興味深く拝見しました。ずいぶん控えめな試算ですが、それでも沖縄県内のすべての基地が返還された場合には、跡地を商業や農業に活用することで得られる経済効果は、実に9155億円になり、経済効果は2・2倍、雇用効果2・7倍になる。こういう試算が県議会で出されています。

 つまり、県の経済界も、政府の公式答弁も、県議会事務局の試算でも、沖縄経済の発展を阻んでいる最大の障害物は米軍基地だ、これが今や誰の目にも明らかになっているのが到達点ではないでしょうか。(「その通り」の声、拍手)

 こういうもとでただ一人、この事実を認めようとしない人がいるのです。それが現知事であります。9月の県議会で、わが党の渡久地修県議が、「米軍基地は沖縄発展の重大な阻害要因であることを直視すべきでないか」とただしたのに対して、知事はこう答えました。「十把一からげの基地の対応について、阻害要因であるということを断定していえるかどうかは、ちょっとこれは単純化し過ぎだと思います」。米軍基地が沖縄経済の発展を阻んでいるのは誰の目にも明らかなのに、「阻害要因と断定することは単純化し過ぎだ」といって認めようとしないのです。

 知事がこういう姿勢ですから、すべての基地がなくなったらどれだけの経済効果があるのかという試算も、一番資料を持っているはずの県庁ではやっていないのです。先のデータも、県議会事務局のデータなんですね。県は試算をやろうともしない。沖縄経済の一番の阻害要因である米軍基地の存在を正面からみすえられない人に、どうして沖縄経済を立て直すことができるかと、私は言いたいと思います。(「そうだ」の声、拍手)

 イハ洋一さんは、宜野湾市長として2003年以来、普天間基地撤去後の跡地利用の青写真をつくる仕事をしっかりされてきました。住民参加で全体計画をまとめる段階に入っているとのことです。基地が撤去されれば、雇用はいまの200人から160倍の3万2000人になる。収入はいまの軍用地料64億円から年間4500億円になるという試算も明らかになっています。

 現知事のもとでは、一番データを持っているはずの県庁が、「基地のない沖縄」という展望を持たないものだから、試算をやらないわけです。イハ洋一さんは、宜野湾市ではすでに立派にやっています。今度は県知事になってもらって、米軍基地をなくしたら、どんなに素晴らしい沖縄になるかというプランを、県民のみなさんとの共同作業でつくってもらおうではありませんか。(「そうだ」の声、指笛、大きな拍手)

本土企業・カジノ頼みか、沖縄の特性を生かした県内産業の振興か

 沖縄経済の問題ではもう一つ、大事な問題があります。経済を発展させるという場合に、本土の企業・カジノ頼みか、それとも沖縄の特性と優位性を生かして県内産業を振興するのか、これも大きな争点です。

 現知事は「IT企業誘致」で雇用が増えたと自慢しています。しかし県が財政支援して誘致したIT企業とは何でしょう。コールセンターがつくられましたが、ここで働く方の8割以上が契約社員だったり、派遣社員だったり、パート社員など、非正規雇用となっているのです。一方的な雇い止めが横行する、無権利、不安定な働かせ方を強いられている。

 いま沖縄で働く人のうち40・8%が非正規雇用労働者です。年収200万円以下の、いわゆる「ワーキングプア」――「働く貧困層」といわれる方が全体の49・9%です。本気で雇用ということを考えるなら正社員を増やし、「働く貧困層」をなくしていく、これこそまっとうなやり方ではないですか(拍手)。現知事のような本土企業を誘致するやり方では、無権利で不安定な雇用しか増えていきません。

 その一方で、現知事が熱を入れているのがカジノの誘致であります。相手は「カジノはビジネス」だといいます。しかし刑法をご覧ください。「カジノは犯罪」と書いてありますよ。(笑い、拍手)

 カジノといいますとラスベガスを思い出しますね。しかし、ラスベガスというのは、ネバダ砂漠のど真ん中の、何もないところにつくったギャンブル都市なのです。豊かな自然と素晴らしい伝統文化を持つ沖縄が、なぜ賭博に頼らなければならないのか。沖縄には、これだけの美しい自然があり、素晴らしい伝統文化がある。それこそ観光の一番の資源ではないですか。(大きな拍手)

 沖縄の素晴らしさを損なう博打(ばくち)の導入に、“博打”的に熱を入れているのが現知事であります(笑い)。こういう方には、沖縄の子どもたちの未来は託せないということを私は申し上げておきたいと思います。(「その通り」の声、大きな拍手)

 イハ洋一さんの政策では、「沖縄の特性と優位性をいかした産業の振興」、「観光、第1次産業、製造業の総合的な発展」、「生活密着型、自然再生型公共工事をはじめとした『沖縄版ニューディール』」などが提案されていますが、こうした沖縄で現に根をはって頑張っている産業を応援してこそ、沖縄経済を再生させ、発展させるほんとうの道が開かれると、私は考えるものであります。(拍手)

「住民福祉の機関」としての自治体をとりもどそう

福祉施設の民営化、県立病院切り捨ては許せない

 「住民福祉の機関」としての自治体をとりもどすのかどうかも、大切な争点であります。

 現知事は、自公政権の社会保障費削減路線に「右へならえ」をして、琉球政府時代から福祉向上のために活動してきた社会福祉事業団を民間に移譲しました。県内唯一の県立老人福祉施設の「首里厚生園」をはじめ、次々と福祉施設の民営化を進めました。

 民営化で職員が削減されました。オムツの交換回数が減らされるなど、著しいサービスの低下も起こっています。職員のみなさんが頑張っても、どうしようもない事態が引き起こされています。

 それにくわえて今度は、県立病院まで切り捨てようという動きがあります。県内に六つの県立病院があります。北部病院、中部病院、南部医療センター・こども医療センター、精和病院、宮古病院、八重山病院です。これを独立行政法人というものにするというのです。独立行政法人というのは独立採算制となります。ですから採算が取れないときはどうなるかと言いますと、まず採算がとれない診療科が縮小・廃止されてしまうのです。産婦人科とか小児科とか、こういうところから切り捨てられていく。そして、病院全体の採算が成り立たなくなったら、病院そのものが閉鎖に追い込まれる。これが独立行政法人化なのです。

 六つの県立病院は、その地域で開業医の先生たちと連携して、地域医療を支えるかけがえのない役割を果たしています。とくに北部とか宮古、八重山は、県立病院がなくなったら地域医療は土台から崩壊してしまいます。

 現知事は「県立病院は赤字だから仕方がない」と言いますけれども、その原因をつくったのは誰ですか。県の財政支援が弱いということに原因があるではありませんか。全国どこでも、県立病院を支えるために県が財政支出をやっているものです。ところが、一つのベッドあたりの沖縄県の支援は235万円、全国平均364万円の3分の2しかお金を出していない。自分でお金を出さないでおいて、赤字だから独立行政法人にして、あとは自分の責任でやりなさい、こんな無責任な政治はないということを、私は言いたいと思います。(大きな拍手)

イハさんで、県立病院を守り、子どもの医療費無料化の充実を

 イハ洋一さんは、「県立病院は県民の命を守る最後の砦(とりで)。県立病院を守り、浦添看護学校を存続させる」ときっぱりと公約しています。イハさんは、宜野湾市長として子どもの医療費無料化で先駆的実績をあげてきましたが、今度は沖縄県として中学校卒業までの入院無料化と通院無料対象年齢の引き上げに取り組むことも公約しています。

 自治体というのはもともと、住民のみなさんの福祉と暮らしを守る、これが一番の仕事です。イハ洋一さんで、本来の「住民福祉の機関」としての沖縄県政を取り戻そうではありませんか。(歓声、大きな拍手)

歴史を動かすたたかい――県民の底力をひとつに集めて必ず勝利を

イハ勝利で、再び米国務省に「引き返し不可能」という報告書を書かせよう

 このたたかいは、沖縄はもとより日本にとっても大きな歴史的意義をもつたたかいとなっています。

 このたたかいが告示された11月11日は、42年前の1968年、屋良朝苗(やら・ちょうびょう)さんが主席公選で勝利をかちとった記念の日(開票日)と聞きました。その日が告示日というのは縁起がいいですね。(笑い、拍手)

 1968年11月の主席公選での劇的な勝利という事態を受けてどうなったか。当時、米国務省の日本課長だったリチャード・スナイダーという人物が、同年12月、沖縄に視察にきて、屋良さんが勝利したあとの沖縄の様子をつぶさに調べて、本国の国務省に報告書を書くのです。そこに何と書いてあったかというと、屋良氏の勝利によって、「われわれは引き返し不可能な地点――ポイント・オブ・ノー・リターンに至った」。これ以上、本土復帰を遅らせるならば、米国はたいへんな事態に追い詰められることになる、こういう報告書を書くのです。それを受けて米国政府も、これはやむをえないと観念して、沖縄の本土復帰が決まっていくのです。こうした歴史を動かす原動力となったのが、島ぐるみでの県民のみなさんのたたかいでありました。(拍手)

 沖縄県民の力がひとつになれば、アメリカも怖くなどありません。現にアメリカを動かして、本土復帰を勝ち取ったではありませんか。(拍手)

 この歴史的なたたかいでイハ洋一さんが勝利をすればどうなるか。アーミテージ元国務副長官がこう言いました。県内移設反対を掲げる人が勝利すれば、「辺野古移設は不可能になる」(拍手)。相手が言っているのですから間違いありません(笑い、拍手)。そしてアーミテージ氏は、「『難しい』と『不可能』は違う」とまで言いました。いまは「難しい」けれども、イハさんが勝ったら「不可能」になると言っている。(拍手)

 みなさん。県民がひとつにまとまれば必ず歴史は動きます。イハ洋一さんがこの歴史的なたたかいで勝利したら、おそらくまた同じことが起こるでしょう。米国務省に、もう一度、沖縄の情勢は「ポイント・オブ・ノー・リターン」――「引き返し不可能な地点に至った」という報告書を書かせようではありませんか。(「よし」の声、大きな拍手)

 これ以上、県民に逆らう基地の押しつけを強行したら、沖縄の基地のすべてを失うことになる。だから普天間基地を撤去し、嘉手納基地も撤去しなければならない。そういう方向に行かなければもうどうにもならない。そういうところまで日米両政府を追い詰めようではありませんか。(「そうだ」の声、指笛、大きな拍手)

相手のバックには日米両政府――最後まで頑張り抜いて勝利を

 告示された11月11日は屋良朝苗さんの勝利を勝ち取った縁起のいい日だと言いましたが、縁起だけでたたかいは勝てるものではありません。(笑い)

 たたかいの様相は、大変な大激戦です。相手のバックについているのは、日米両政府であります。相手はたいしたことはなくても(笑い)、日米両政府というのはたいへんに手ごわい。権力を動員し、必死であります。しかし、イハ洋一さんは、沖縄県民の総意の先頭に立っている。大義と道理はイハ洋一さんにあります。(大きな拍手)

 沖縄の底力をひとつに集めて、頑張りぬけば必ず勝利をつかむことができます。日本共産党は、「県民の会」の一員として、他の政党の方々や、多くの県民のみなさんとしっかりスクラムを組み、最後まで勝利のためにあらゆる力をつくします。私ももう一度沖縄に応援にまいります。(大きな拍手)

 最後まで頑張りぬいてイハ洋一県政誕生のために力をつくそうではありませんか。頑張りましょう。(「ウォー」の歓声、指笛、大きな拍手)





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