2010年11月17日(水)「しんぶん赤旗」
2010年度補正予算案
笠井議員の反対討論
衆院本会議
16日の衆院本会議で日本共産党の笠井亮議員がおこなった2010年度補正予算に対する反対討論は次の通りです。
第一は、円高・デフレなど景気悪化に苦しむ国民の要求に応えていないことです。離職した労働者は724万人、民間賃金の減少は平均23万7千円と過去最大の下落です。円高関連倒産が前年より15%も増加し、国民生活は悪化の一途をたどっています。
とるべきは、家計を直接支援し、内需を拡大する抜本的対策です。大企業の内部留保を国民に還流させ、労働法制の抜本的改正による雇用の安定と賃金の底上げをはかる、後期高齢者医療制度はすぐ廃止し、高すぎる国保料を軽減するなど社会保障を充実させることです。
中小企業には官公需の活用による仕事おこし、販路の拡大、ものづくり技術を担う町工場への固定費補助、既往債務の負担軽減などが必要です。農家には過剰米の緊急買い上げや鳥獣被害対策などを直ちにとることです。国民生活を最優先する政策への根本的な転換こそ必要です。
予算案は、子宮頸(けい)がん等のワクチン接種への財政支援、中小企業への資金繰り支援における借り換え保証の追加など国民要求を反映したものはありますが、失業者への就職支援策など自公政権時代からとられてきた政策の延長にすぎません。
中小企業の資金繰りの命綱である景気対応緊急保証や、政府金融機関の金利引き下げ措置は打ち切るのではなく継続すべきです。
第二は、国民生活にはきわめて不十分な一方で、「新成長戦略の推進・加速」として、新たな大企業支援策が盛り込まれています。
政府の新成長戦略は法人税減税と大企業の国際競争力強化、規制緩和と民営化による雇用創出、日本農業と地域経済を破壊するアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)推進など大企業応援が中心です。その上、米国主導の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を推進しようとしています。
補正予算には新成長戦略を前倒し実施する施策が並んでいます。イノベーション(技術革新)拠点立地支援は、大規模設備投資に補助金を出し、戦略的M&A(企業合併・買収)の推進は大企業の海外大型買収を支援します。インフラ(産業基盤)・システム輸出の促進は原発や水事業、鉄道等の支援策です。大企業の要求に応えたものにほかなりません。
公共事業は国土ミッシングリンクの解消=高速道路の建設や戦略港湾・首都圏空港の整備など「コンクリートから人へ」といいながら大型開発事業に依存したものです。
大企業を応援すれば経済が良くなり、暮らしも良くなるという政策は破たんしています。大企業の利益は、内部留保や配当・役員報酬に回るだけで、労働者や中小企業に流れることはなく、景気低迷、貧困と格差を広げており、大企業優先の路線は根本的に改めるべきです。
情報収集衛星の体制整備として、スパイ衛星の新たな予備機の研究開発費が計上されています。宇宙を軍事利用するもので認められません。NATO(北大西洋条約機構)・アフガニスタン国軍信託基金への拠出金が計上されています。外国軍への財政支援は憲法9条をもつ日本として許されません。
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