2010年11月20日(土)「しんぶん赤旗」

介護保険

利用者2割負担導入

厚労省素案 保険料5200円の試算も


 2012年度の介護保険制度改定に向けて議論する社会保障審議会介護保険部会で19日、厚生労働省が最終報告書の素案を示しました。一定の所得がある高齢者の利用者負担を2割負担とするなど、負担増と給付減の項目を列挙しました(表)。この間の審議で続出していた強い反対意見は素案の各項目で短く付記するにとどめています。

 報告書素案は、65歳以上の保険料が12年度から月平均5000円(現在4160円)を超えかねないとしながら、軽減のための公費負担引き上げは「困難」と切り捨てました。公費負担増の見直しを排除したうえで、事業所への介護報酬2%アップなどを行えば月額5200円程度への値上げになるとし、「給付の効率化・重点化」を強調しています。

 利用者負担増を求めるのは、年間所得200万円以上の高齢者で、現在の1割から2割負担への倍増を「検討すべきである」としています。

 また、要支援者、軽度の要介護者への給付「効率化」が必要として▽保険給付の対象外とする▽利用者負担を2割に倍増する―との意見を示しています。

 介護保険サービス利用の前提となるケアプラン作成(現在無料)の有料化(要介護者は月1000円、要支援者は月500円)を「検討すべきである」としています。

 施設入所者の居住費を軽減する給付(補足給付)については、市町村の判断で資産や家族の負担能力を要件に加えて、支給のハードルを上げる「仕組み」を求めています。また、施設の相部屋に入居している高齢者から水光熱費に加えて新たに室料(施設の減価償却費)を月5000円徴収することが「必要」としています。

 介護療養病床廃止の方針については、「一定の期間に限って猶予することが必要」とし、廃止に固執する姿勢をにじませました。

 委員からは、「(軽度者の保険給付外しは)国民に対する約束違反になる」「介護保険制度が崩壊する恐れがある」「ケアマネジメントが失われる」「利用者の意見がカットされたまとめだ」など、痛烈な批判が相次ぎました。

表




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