2010年11月20日(土)「しんぶん赤旗」
過労死防止法制定を
家族の会が国などに要請
過労死遺族らでつくる、全国過労死を考える家族の会は19日、厚生労働省と地方公務員災害補償基金本部に要請し、過労死防止基本法制定、認定基準の緩和などを求めました。勤労感謝の日に先立ち取り組んでいる同会の行動は今年で23回目。
厚労省への要請で、遺族の女性(67)=北海道旭川市=は、「まじめに精いっぱい頑張った息子の死を犬死ににしたくないという一念で、人生をかけて裁判をたたかっています」と話しました。息子は「リクルート」でB‐ing編集に従事、デジタルビーイング編集も兼務するようになり、14年前、くも膜下出血のため29歳で亡くなりました。
女性は「正社員は過労死するほど働かされ、非正規は不安定な生活に陥る状況は息子の亡くなったころよりひどくなっている。若い人がばたばた倒れている状態を基本的なところから考えていただきたい」と訴えました。
システムエンジニアの27歳の息子をうつ病による過労自死で失った母親。徹夜明けの退勤時間と出勤時間の間が1分しかないタイムカード記録が残されており、「先が何も見えません。このまま生きていくのは死ぬよりつらいと思います」と息子がブログで書き残したと述べ、「速やかに労働災害を認め息子の尊厳を守ってください。若いシステムエンジニアを自殺に追い込むのを防ぐためにもよろしくお願いします」と訴えました。
過労死を出した企業名公表を求める訴訟を起こしている寺西笑子・同会代表世話人は、これから就職する若い人のためにも必要なことだと話しました。
要請に先立って同日正午、厚労省前と御茶ノ水駅前で「ノーモア・カローシ」を市民に呼びかけ宣伝し、夕方には、過労死を考える集いを開催しました。