2010年11月22日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」 市田書記局長の発言


 日本共産党の市田忠義書記局長が、21日のNHK番組「日曜討論」で行った発言の大要は次のとおりです。


柳田法相発言―自浄能力がないなら、問責決議

  司会者から、国会軽視の発言をした柳田稔法相の進退を問われると、民主党の岡田克也幹事長は「(発言は)適切でなかった」としながら「問責に値する問題かどうかはさまざまな意見がありうる」と主張。野党各党からは柳田法相の辞任・罷免を求める声が相次ぎました。

  市田氏は次のように述べました。

 市田 二つ問題があると思います。一つ目は、国会と国民を愚ろうしたということ。二つ目は(大臣としての)資質に欠けるということです。

 本人が、法務大臣になってほしいという電話を受けたときに、まさか私が法務大臣かと。一番びっくりしたのは自分だといい、関係者もみんなそう思っているだろうと(発言しています)。

 法務大臣にふさわしくない、資質がないことを自ら認めている。それが先ほどの、二つの言葉さえ覚えておけば、という発言につながったのだと思います。

 また、記者会見では、(柳田法相が)誤解を与えたことをおわびするといっている。しかし、国民はだれも誤解していません。

 こういう大臣を総理大臣も官房長官もかばい、本人も自ら辞職するつもりはないという。自浄能力がないのならば、問責決議でお辞めいただくしかないと思っています。

補正予算審議―与党の態度にかかっている

  問責決議案の提出をめぐって、岡田氏は「政局的に問責決議を利用する考え、補正予算を人質にとるようなやり方は認められない」と発言。市田氏は次のように述べました。

 市田 問責は重いもので何かの駆け引きに使うべきではないし、補正予算を人質にとるという立場をわが党はとりません。

 ただ、問責が可決されれば、(柳田法相は)お辞めになるのが当然です。法務大臣にふさわしくないということを決められた人が(辞めずに)答弁席にたっているというもとでは、審議が進みにくい。こちらのほうから審議を拒否したことは少なくともわが党の場合は一度もないので、(審議の行方は)きちんと誠実な態度を与党がとられるかどうかにかかっていると思っています。

仙谷長官の問責―出されれば当然、値する

  自民党の石原伸晃幹事長は、尖閣諸島問題をめぐって衆院で不信任決議案が提出された仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相への対応について、「大臣の発言が軽すぎる。そこが改正されなければ2人について(問責を)考えざるをえない」と発言。岡田氏は「(補正)予算を通すためにさまざまな努力をしている。(閣僚の反省・撤回発言は)その一環だ」などと開き直りました。市田氏は次のように述べました。

 市田 問責決議は大変重いもので、次々に乱発すればいいものではないと思っています。したがって(問責を)出す時期、その理由をよく吟味すべきだと思います。

 仙谷長官の問題でいうと、ビデオ流出問題は本質問題ではありません。むしろ、あれは公開すべきだったと思っています。

 尖閣問題、千島問題でも「領土問題は存在しない」というだけではなくて、理を尽くして相手国や国際社会に訴えることに欠けていた。ここに一番、問題があったわけです。

 (問責が)出されたときは当然、値すると思います。

内閣支持率の急落―根底には暮らしと経済で適切な手だてがないこと

 菅内閣の支持率急落について議論になりました。「外交問題をはじめ厳しい局面だが、しっかり前に進んでいく」「責任を果たしていくことが重要だ」と強調した岡田氏に、市田氏は次のように述べました。

 市田 どうして内閣支持率がこれだけ下がったか。根底には暮らしと経済の問題があると思います。農業だけでなく、国土と日本社会を崩壊に導きかねないようなTPP(環太平洋連携協定)問題や就職難、民間の働いている人の給与が年間で24万円くらい減っている問題や、非正規社員がなかなか正社員になれない問題もあります。こういう問題に適切な手だてが講じられていません。

 加えて外交問題があります。尖閣問題とともに、千島列島問題では、領土不拡大の原則に反するスターリンの行為が誤っていたこと、そして、それを追認したサンフランシスコ条約2条C項の千島列島放棄という枠内での交渉ではダメだと思います。

 “南千島は千島にあらず”という議論は国際的にも通用しない問題で、千島・樺太交換条約で千島列島全体が日本の領土だということがはっきりしている。

 国際的に道理にたった交渉がやられていないことが、支持率低下の大きな原因だと思います。

小沢氏の国会招致―約束を守るべき

 最後に終盤国会の課題について議論になり、民主党の小沢一郎元代表の国会招致などが議論になりました。小沢氏の国会招致を要求する野党各党に対し、岡田氏は「(小沢氏の)自らの判断」と主張。市田氏は終盤国会での対応を含め、次のように述べました。

 市田 後期高齢者医療制度は事実上存続するとしている問題だとか、介護保険の負担を増やすとかいろいろ問題があります。まだ(臨時国会会期末まで)2週間もあるわけですから、暮らしの問題を国会で大いに議論すべきです。

 それから外交の問題では、尖閣問題でも千島問題でも前の政権と同じことをやっているというが、前の政権から変わらなければなりません。

 小沢さんの問題でいうと、公党の書記局長・幹事長による正式の会議の場で、岡田さんが「小沢氏を何らかの形でできるだけ早く国会の場に招致できるよう環境整備に努める」とおっしゃった。

 (小沢氏と)話したけれど本人がうんといわないのなら、強制力のある証人喚問しかありません。それを守るべきです。(それをしないのは)責任放棄だと思います。


 柳田法相発言 14日に広島市内で開かれた会合での柳田稔法相の発言は次のとおり。  「法務大臣というのはいいですね。二つ(の答弁)覚えておけばいいですから。(一つは)『個別の事案についてはお答えを差し控えます』とね。…分からなかったら、これを使う。…あとは『法と証拠に基づいて適切にやっております』。この二つなんです。何回使ったことか」

 千島問題 日ロ間では、1855年の「日魯通好条約」と、1875年の「樺太・千島交換条約」で、千島列島全体が日本の領土として画定していました。それを旧ソ連のスターリンが「領土不拡大」という第2次世界大戦の戦後処理原則を破って、千島列島と北海道の一部である歯舞、色丹まで不法に占領。この不公正が領土問題の根源です。1951年のサンフランシスコ講和条約は、この不公正を追認し日本に千島列島に対する権利を放棄させました(2条C項=千島放棄条項)。歴代自民党政府はこの「千島放棄条項」の「枠内」で領土問題を解決しようと、「国後、択捉は千島列島ではないから返還せよ」と主張し、歯舞、色丹とあわせて「四島返還」を要求してきました。





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