2010年11月27日(土)「しんぶん赤旗」

紙議員 TPP問題を追及

自給率引き上げと両立せず

紙氏“100%のコメ67%に” 農水相、答えられず


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(写真)質問する紙智子議員=25日、参院農水委

 日本共産党の紙智子議員は25日の参院農林水産委員会で、関税ゼロが原則の環太平洋連携協定(TPP)について、加入すればどのような国内対策を講じても食料自給率が下落することを明らかにし、政府の認識をただしました。

 菅直人首相や仙谷由人官房長官はこの間、農業者の高齢化などをあげ「座して死を待つより、打って出て競争力をつける」とTPP加入を合理化する発言を繰り返しています。

政権公約示す

 紙氏は、食料自給率50%への引き上げを掲げた民主党政権の「食料・農業・農村基本計画」を示し、「この基本計画を実施しても日本農業は座して死を待つことになるのか」「農水相としてがまんできない発言ではないか」と批判しました。

 紙氏は、閣内からTPPと食料自給率引き上げが両立し得るかのような発言まで出ていることについて、その根拠を質問。「TPPをどうするかはこれから。いま申し上げる段階ではない」と繰り返す鹿野道彦農水相に対し、関税を撤廃すれば日本の米の生産量823万トンの2分の1に相当するアメリカ産米が輸入されるという農水省の試算を突き付け、重ねて認識をただしました。

  紙議員 アメリカ産米は日本の米価の4分の1。いまの米の生産体制(量)を戸別所得補償制度で維持したとしても、アメリカから少なくとも400万トンの米が輸入される。米の自給率は100%から67%に一気に下落することになる。これでも両立できると言えるのか。

  鹿野農水相 (農水省として)関税が撤廃されなにも対策をとらなければ食料自給率が現在の40%から13%になるという試算は出しているが、(TPP加入を仮定した質問には)TPPの参加を想定しているわけではないので答えられない。

  紙議員 まだ決めてないから答えられないというが、現に情報収集をし、関係国との交渉も始めていくという。あたかも(TPPと食料自給率向上が)両立できるように国民には伝わっているが、ちゃんとした根拠も示さず、幻想を与えるのは国民をだますことだ。はっきりとした答えをいただきたい。

輸入急増する

 あくまで答弁を避けようとする鹿野農水相に対し、紙氏は「どんな国内対策をやったとしても(輸入農産物が)入ってくることになれば、この計算どおり確実に自給率は下がる」と追及。鹿野農水相は「こういう試算もあるのかなと思ったが、計算に強くないのでこうだと言及するには時間が必要」と言いのがれようとしました。

 紙氏は「これは農水省に聞いたやり方で計算したものだ」と指摘。関税が撤廃されれば、国内産との価格差のために米に限らず重要品目の輸入は急増するとし「食料自給率の下落を防ぐには輸入を防ぐしかない。両立などあり得ない」と力説しました。





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